大学入試の制度は、令和3年度(2021年度)から変わります。センター試験が廃止され、大学入学共通テストが導入されます。それに当たり、入試改革の前年に当たる2020年度の大学入試が激戦になることが予想されています。その理由を解説するので、現高校3年生と浪人生には、危機感を持ってますます勉学に励んでほしいと思います。
2019年度も新制度導入前の合格を狙う学生が多かった
2020年度のことを話す前に、2019年度の大学入試のことを根拠としてお話しします。
まずは、『2020年度受験用全国大学入試問題正解12生物(旺文社)』から、いくつか引用します。
国公立大一般入試の志願者数は47.0万人で、前年比0.9%増。志願倍率は4.7倍で前年よりややアップしました。そこで、国立大・公立大を入試日程別に比べてみると、前期は「国立0.4%減、公立2.2%増」、後期は「国立0.5%増、公立1.6%増」。前期は国立大から公立大へ流れる一方、後期は国立大・公立大ともに最後まで粘ろうという姿勢が見て取れます。
この原因には、以下の4つの理由があると紹介されていました。
①私立大の難化。前年に合格者絞り込みにより難化した私立大を避けるため、国立大志望者は併願先を公立大後期・中期に求め、もともと私立大志望の受験生も、中堅国公立大を積極的に狙う戦略に転じた模様です。
②「入試改革」への過度な意識と超安全志向。2021年からスタートする入試改革。2年先の入試ですが、すでに来年は「後がない入試」として激戦が予想されます。浪人して来年に再受験となるのを避けるためにも、後期・中期まで粘る意識が強まったとみられます。
③センター試験の易化。文系・理系ともに受ける基幹科目の国語と英語リスニングが易化したため、受験生に国公立大への意欲が高まり、ボーダー付近の学力層も公立大を中心に積極的に出願した模様です。
④公立大中期の増加。公立大の新設や私立大の「公立化」に伴い、中期日程の実施校は、ここ10年間で増加。併願先として存在感を高め、多くの志願者を集めました。
引用を読んでいただければ、2019年度大学入試も激戦だったことがわかると思います。大学入学共通テストを警戒する受験生が多く、現役での入学を意識していたことがわかります。
ちなみに私立大の難化は「入試改革」とは別の問題で、国の方針で私立大の『定員数の厳格化』が定められたことに起因しています。私立大は『見込み』で定員数より多くの合格者を決めますが、従来よりも定めた合格者数が少なくなった、ということでしょう。これはもちろん、2020年度にも適応されます。
国公立志望・私立大志望問わず、2019年度の大学入試は従来よりも難化していたのです。
2020年度大学入試は激戦になる模様…
上記の2019年度大学入試では、2年前にも関わらず“超安全志向”が表れていました。よって、当然、2020年度大学入試でも“超安全志向”は顕在だと予想できます。不安視するならば、一層強くなるでしょう。それにより、例年よりも受験者数が多くなるかもしれません。
その理由は、やはり大学入学共通テストへの不安です。2021年度のセンター試験から大学入学共通テストへの移行で、どの教科も問題の傾向が大きく変わるとされています。既に2回プレテストが行われており、少なくとも管理人の専門教科である“生物基礎”と“生物”では、どちらも問題が難しくなっていました。傾向変化&難化の理由は、大学入学共通テストでは表現力・思考力・判断力をより一層強く求める方針であることでしょう。プレテストが実施されているとしても、実際の問題の傾向がどうなるのかは、本番でなければわかりません。つまり、長々と続いてきたセンター試験のような“信頼できる対策”ができないのです。
大学入学共通テストは国公立大がメインの話にはなりますが、先に挙げた私立大の難化も伴い、私大希望者が国公立大を併願するケースも多くなるのではないでしょうか。
まとめ
2020年度の大学入試も激戦になる理由を簡単にまとめると、次の通りです。
- 2021年度の「入試改革」を不安視しての“超安全志向”
- 私立大の難化(定員数の厳格化)
この夏から本格的に受験対策を始める高校3年生も多いと思います。当記事が現役合格のための勉学に励むきっかけになればと願って、終わりにします。