問題解説

「高校生物基礎・生物」DNAの長さ・ヌクレオチド数などの計算問題

今回は、「生物基礎」の第2章“遺伝子とそのはたらき”、「高校生物」の第3章“遺伝情報の発現”に登場するDNAの長さ・ヌクレオチド数・翻訳領域の割合・分子量の計算問題の解き方を紹介します。演習問題を用意しているので、解いてみてテスト対策をしましょう。解説もわかりやすく努めているので、是非学んでください。

演習問題

では、まず問題を解いてみましょう。下のスライド1が問題用紙になります。標準解答時間は20分です。20分経っても解けなかった場合は、解答と解説を見ましょう。

スライド1:生物基礎版DNAの計算問題スライド1:生物基礎版DNAの計算問題

解き具合はいかがだったでしょうか。ここで登場した計算問題はけっこう難易度が高いので、特に文系の方にとっては難しかったと思います。以下の解答で答え合わせをして、間違ったところはその下の解説を見ましょう。

解答

解答は、下のスライド2のようになります。

スライド2:生物基礎版DNAの計算問題の解答スライド2:生物基礎版DNAの計算問題の解答

解説

問題1(1).ヒトの染色体数46本で割るだけ!

この問題は知識問題and計算問題です。計算をするにあたって、ヒトの染色体数は46本であることを知っておく必要がありました。

では、今回の問題の解き方です。解き方は至って単純で、ヒトの体細胞のDNA(46本分)の長さ2mを、染色体1本あたりに平均の長さするために、46本で割るだけです。ただし、解答の単位がcmに指定されているため、2m=200cmと換算してから計算します。よって、計算式は、

  • 2 × 100 ÷ 46 ≒ 4.3(cm)(※ミスを訂正しました)

となります。リード文で指定されているように、有効数字2桁で答えましょう。

加えて、DNAと染色体の違いについて触れておきます。染色体とは、DNAがヒストンというタンパク質によって折りたたまれ、さらにその構造が折りたたまれたクロマチン繊維を成したものです。

スライド3:DNAは間期ではクロマチン繊維の状態スライド3:DNAは間期ではクロマチン繊維の状態

ただし、細胞分裂時になると、クロマチン繊維はさらに折りたたまれて短い棒状の形になります。なので、“染色体はDNAとタンパク質が結合した物質であり、その際DNAは折りたたまれている”と言うことができます。このようなことから、ある染色体中のDNAの長さとは、その染色体のDNAを直線にした長さと同じと言えます。(ちょっとまわりくどい表現ですが…)

ヒトの体細胞1個のDNAの長さが約2mであることは、計算して求めさせられることがあります。知っておくと、見直しに役立つと思うので、覚えておくとよいでしょう。

問題1(2).DNAの長さと塩基対の計算問題では比を使う!

この問題は計算問題です。コツは比を使うことでした。

では、どのように比を使うかというと、下のスライド4のようになります。

スライド4:DNAの長さと塩基対は比を使うことで簡単に情報整理できるスライド4:DNAの長さと塩基対は比を使うことで簡単に情報整理できる

スライド4では、ヒトの体細胞1個の塩基対をxと置いています。そして、比を使って計算式を出し、そのあとで塩基対をヌクレオチド数に換算することで、解答を導くことができます。

ちなみに、塩基対とヌクレオチドの関係がわからない方は、下のスライド5を見てもらえばわかると思います。

スライド5:ヌクレオチドと塩基対の関係スライド5:ヌクレオチドと塩基対の関係

スライド5のように、“DNAの基本単位はヌクレオチドであり、DNAのかたちは2本のヌクレオチド鎖が塩基で対をなしたもの”と言うことができます。なので、1塩基対には2つのヌクレオチドが含まれるのです。

DNAの長さと塩基対の関係は、比を使うことで情報整理ができる!

問題2(1).ゲノムはnの状態!

この問題は知識問題and計算問題です。核相(2nやnのこと)とゲノムの関係を習得しているか問われる問題でした。

まず、核相について解説します。親から受け継いだ染色体の1組をnとすると、通常体細胞は2nで表すことができます。

スライド6:核相とは?2nとnの違いスライド6:核相とは?2nとnの違い

問題文の2n=8を紐解くと、“4つで1セットの染色体を、2セット持つ”と表現することができます。スライド6の受精卵・体細胞の状態です。

次にゲノムと核相の関係ですが、ゲノムと表現するときは染色体1セットのことを指します。つまり、nのことを指すことになります。

よって、問題文の情報を整理すると、次のスライド7ようになります。

スライド7:ゲノムと核相から塩基対数とヌクレオチド数を求める方法スライド7:ゲノムと核相から塩基対数とヌクレオチド数を求める方法

ゲノムと核相の関係は必ず覚えておきましょう(1ゲノム=n)。繰り返しますが、ゲノムはnのことを指します。

問題2(2).生殖細胞のヌクレオチドは体細胞の半分!

この問題は知識問題and計算問題です。体細胞は2n、生殖細胞はnであることを知っておく必要がありました。

繰り返し掲示しますが、生殖細胞(精子と卵)は体細胞の半分の染色体を持ちます。

よって、体細胞1個のヌクレオチドの個数は、精子1個のヌクレオチドの個数の2倍になります。

問題文に書いてあった核相と(1)の問題を整理すると、以下のスライド8のようなかたちで問題を解くことができます。

スライド8:体細胞と精子のヌクレオチド数の計算方法スライド8:体細胞と精子のヌクレオチド数の計算方法

管理人の愛読する数研出版と第一学習社の生物基礎教科書を見ましたが、核相(2nやn)という単語はありませんでした。しかし、知っておいた方が入試対策になると思うので、今回の問題2を復習するとよいと思います。

問題3(1).これも比をうまく使おう!

この問題は計算問題です。解き方は問題1(2)と似ていて、やはり比を使うことが問題を解く上で大事でした。

解き方は、下のスライド9のようになります。

スライド9:問題3(1)を解くときも比を使おう!スライド9:問題3(1)を解くときも比を使おう!

長さの計算問題では、問題文中の長さの単位と答えるときの長さの単位が異なる場合がよくあります。この場合は、まずはどちらかの単位だけを使い、あとから単位を変換する方が計算しやすいです。ただし、単位の換算を忘れないように注意する必要があります。

問題3(2).質量を塩基対数に変換して比を使おう!

この問題は計算問題です。塩基対と長さに加えて質量の単位まで登場するので混乱するかと思いますが、この問題でもやはり比を使えば簡単に解くことができます。

少し複雑ですが、下のスライド10のような手順を踏むと回答することができます。やはり、比に落としこむと解くことができます。

スライド10:問題3(2)の解答手順、比に落とし込むスライド10:問題3(2)の解答手順、比に落とし込む

計算式は、下のスライド11のようなかたちになります。

スライド11:問題3(2)の計算式スライド11:問題3(2)の計算式

計算慣れしないと難しいかもしれませんが、慌てず冷静に情報整理をすることで解き方は見えてきます。1つ1つの情報を整理して解きましょう。

問題3(3).1アミノ酸には3塩基対が対応!

この問題は知識問題and計算問題です。1つのアミノ酸にはDNA3塩基対が対応すること、つまり“翻訳”の知識が必要でした。

DNAの塩基対、RNAの塩基、アミノ酸の関係は、下のスライド12のようになっています。

スライド12:DNAの3塩基対・RNAの3塩基につきアミノ酸1つが対応スライド12:DNAの3塩基対・RNAの3塩基につきアミノ酸1つが対応

つまり、1アミノ酸は、DNA3塩基対とRNAの3塩基に対応しています。

このことから、問題文にあるタンパク質の平均アミノ酸数が375のとき、次のことを言うことができます。

  • RNAへの転写のもとになるDNAの塩基対数 ⇒ 375 × 3(塩基
  • タンパク質の翻訳のもとになるRNAの塩基数 ⇒ 375 × 3(塩基数)

このことを利用すると、問題の解き方は、下のスライド13のようになります。

スライド13:翻訳領域の割合の求め方スライド13:翻訳領域の割合の求め方

文章で理解しにくい方のために、参考となる図を用意しました。下のスライド14になります。

スライド14:翻訳領域のDNAの塩基対のイメージ図スライド14:翻訳領域のDNAの塩基対のイメージ図

ゲノムに対する翻訳領域の割合を求めるためには、ゲノムの塩基対数で割り、パーセントにするために100を掛けてあげる必要があります。

生物基礎の教科書では図での説明しかありませんが、“1アミノ酸には、DNAの3塩基対・RNAの3塩基が対応している”ことを覚えておいた方がよいでしょう。

問題4.難問だが比などを使って情報整理に努めよう!

この問題は知識問題and計算問題です。いろんな数値が出てきて難しいですが、うまく情報を整理しながら解いていくとよいでしょう。


まずは、“このDNAからつくられるmRNA(伝令RNA)の平均ヌクレオチド数”から解説します。

mRNAの平均ヌクレオチド数を求めるには、以下の2つの方法があります。

  • DNAの平均塩基対数 = mRNAの平均ヌクレオチド数
  • タンパク質の平均アミノ酸個数×3 = mRNAの平均ヌクレオチド数

図に表すと、下のスライド15のようなかんじです。

スライド15:mRNAの塩基数は、DNAの塩基対数またはアミノ酸個数からわかるスライド15:mRNAの塩基数は、DNAの塩基対数またはアミノ酸個数からわかる

今回の問題の場合、タンパク質の平均アミノ酸個数は問題文にないので、DNAの平均塩基対数を求める必要があります。

この問題の解き方は、以下のようになります。

  1. DNAの塩基対(ヌクレオチド対)の数を求める。
  2. “塩基配列すべてが翻訳領域である”ため、DNAの塩基対数=mRNAのヌクレオチド数
  3. mRNAのヌクレオチド数をタンパク質の種類で割ると、1つのタンパク質を翻訳するためのmRNAの平均ヌクレオチド数が求まる。

この計算式は、下のスライド16のようになります。

スライド16:mRNAの平均ヌクレオチド数の求め方スライド16:mRNAの平均ヌクレオチド数の求め方

次に、“合成されたタンパク質の平均分子量”を計算します。

この問題の解き方は、以下のようになります。

  1. “mRNAのヌクレオチド数÷3”をすることで、1個のタンパク質のアミノ酸個数を出す。
  2. アミノ酸個数にアミノ酸1個の平均分子量をかけ算する。

①については、スライド15の図にある通りです。2については、説明の通りになります。

よって、計算式は、

タンパク質の平均分子量=1.5×10÷3 ×110 = 5.5×104

となります。


解説は以上になります。

総括

今回の記事の解説をつくるのには骨が折れました。正直なところ、管理人の解説で足りてない部分があるだろうと感じています。おそらく、学校の先生でも生物基礎・生物の計算問題を説明するときは苦労しているのではないでしょうか。その分、高校生の皆さんにとって、このテーマを理解するのがとても難しいと思います。

ただ、DNAの長さと塩基対の関係については“比”をうまく使うことで簡単に情報整理ができます。この手のテーマが出た場合は、比を使う要素がないか考えてみるとよいでしょう。

もし一度理解したとしても、忘れたころにもう一度チャレンジしてみてください。頭の中で計算式を立てるだけで構いません。解き方を知っているかどうかで問題を解く速度が格段に違うテーマなので、解き方を忘れないように努めましょう。

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POSTED COMMENT

  1. アバター アダチ より:

    シカマル様、ご無沙汰しております。
    厚かましくもお願い致しておりました記事、もう公開して下さっていたんですね。
    リクエストとしてこちらからお願いしていましたものでしたし、本当ならばすぐに感謝の意をお伝えすべきが筋という所、お礼が大変遅れてしまい申し訳ありません。
    早速拝見しました。ありがとうございます。
    シカマル様ならではの詳しい説明で凡そ理解出来ました。ずっとモヤモヤしていた所でもありましたし、学校で演習の機会はあまりないので、助かりました。
    校内の実力テストも近いので、ありがたく使わせていただきます(笑)

    • シカマル シカマル より:

      アダチ様、お久しぶりです。
      再び閲覧していただき、ありがとうございます。
      学校生活がお忙しいと思うので、悪く思ってもらわずに大丈夫ですよ!
      今回の記事の出来具合はあまりよくなかったと思っています、説明するのが難しかったです。
      ですが、参考にしていただいて幸いです。
      加えて前回言いそびれていましたが、テストで9割も取るとは大変優秀だと思いました。
      是非これからも頑張って頂きたいと思います、応援しています!

  2. アバター ウッディー より:

    質問です!
    問題1の⑴の説明で2m=2000cmとなっているのはなぜですか?できればご返信お願いします。

    • シカマル シカマル より:

      ウッディー様
      コメントありがとうございます。
      問題1(1)の解答および解説は誤っていました。
      正しくは、「2m=200cm」なので、解答は4.3cmとなります。
      ご指摘ありがとうございました。
      管理人シカマルより

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