第9章「生物の進化と系統」

「高校生物」ハーディー・ワインベルグの法則と遺伝子頻度の計算問題の解き方

今回は、「高校生物」の第5編の“生物の進化と系統”に登場するハーディー・ワインベルグの法則と遺伝子頻度の計算問題の解き方を紹介します。定番問題のポイントをわかりやすく解説しているので、是非活用してください。

※問題の編集を行いました。スライド1からは、プレテスト改題は削除して代わりに追加問題を加えています。(2019年6月中旬)

今後、遺伝の法則の用語「優性・劣性」は「顕性・潜性」と言い換えられる予定になっているそうです。入試問題でも言い換えられる可能性が高いので、「顕性・潜性」の表現にも慣れておくとよいでしょう。

演習問題

まずは演習問題として、下のスライド1を解いてみましょう。目標解答時間は、基本問題で5分、応用問題で10分です。時間が経っても解けない場合は、すぐに解答・解説を見ましょう。

スライド1:ハーディー・ワインベルグの法則と遺伝子頻度の計算問題スライド1:ハーディー・ワインベルグの法則と遺伝子頻度の計算問題

解き具合はどうでしたか。管理人の主観としては、

  1. 基本問題は、難なく解けてほしい。
  2. 応用問題は、見たことがないのであれば解けなくともよい。

というような思いがあります。以下の解答解説を読んで、応用問題もできるようになりましょう。

解答

問1.p:0.6、q:0.4

問2.120人

問3.p:0.71、q:0.29

問4.122人

問5.A島:2%、B島:1%

問6.A型遺伝子の頻度…1/2、B型遺伝子の頻度…1/5、O型遺伝子の頻度…3/10

解説

問1.遺伝子頻度を求める基本的な問題!

問1の問題文

ある生物の対立遺伝子には、優性遺伝子Aと劣性遺伝子aが存在する。この生物の集団αでは、100個体中16個体が劣性形質を持っていた。優性遺伝子Aの遺伝子頻度をp、劣性遺伝子aの遺伝子頻度をqとしたとき、pとqの数値を答えなさい。

この問題は計算問題です。遺伝子頻度pとqを求めるというこのテーマの最も基本的な問題でした。

まずは、遺伝子頻度pとqがどのように個体数と関わっているかを理解するところから始めましょう。下のスライド2を見てください。

スライド2:集団中の個体数は遺伝子頻度のかけ算で考えるスライド2:集団中の個体数は遺伝子頻度のかけ算で考える

まず設問の補足をしておきます。今回は優性遺伝子Aの遺伝子頻度はp、劣性遺伝子の遺伝子頻度はqとなっています。設問の設定では出ませんでしたが、p+q=1です。1つの対立遺伝子の遺伝子頻度の総値は、必ず1になります。つまり、pやqは小数点の値になるとも言うことができます。

遺伝子頻度の個体数を求めるときは、スライド2の左表のようなものをつくる必要があります。このとき、集団中の各遺伝子型は遺伝子頻度のかけ算で考えることができます。なので例を挙げると、

  • 遺伝子型AAの人数=pp×全個体数
  • 遺伝子型Aaの人数=2pq×全個体数
  • 遺伝子型aaの人数=qq×全個体数…(b)

という考え方になります。

さて、スライド2の文末に書きましたが、qqaa=16となっています。これを上の箇条書きの(b)に代入してみましょう。このとき、全個体数100も代入してください。すると、

  • 16=qq×100 → qq=16/100

となります。あとは、計算をするとq=0.4と求まります。また、p+q=1だったので、p=0.6も求まり、問1は解くことができました。

要点

遺伝子頻度を求める計算は基本なので解けるようになろう。意識するとよいのは、p2あるいはq2が二乗の数値になっているか見極めることです。

問2.次世代の特定の遺伝子型の個体数を答える基本問題!

問2の問題文

問1の集団αの次世代集団であるβは、250個体の集団である。このとき、遺伝子型がAaである個体の数を答えなさい。ただし、ハーディー・ワインベルグの法則が成り立っているとする。

この問題は計算問題です。問1の遺伝子頻度(p=0.6、q=0.4)を使うので、問1の続問と言うことができるでしょう。

問2の設問のように、次世代(集団β)の個体のうち特定の遺伝子型をもつ個体数を求めるためには、ある条件が成り立ってさえいれば前世代(集団α)の遺伝子頻度を使うことができます。その条件が、ハーディー・ワインベルグの法則です。この問2ではハーディー・ワインベルグの法則が成り立つと書いてあるので、全世代である集団αの遺伝子頻度p=0.6とq=0.4を次世代の集団βでも使うことができます。

問1の解説でも書きましたが、集団βでも特定の遺伝子型の個体数は次の式で求めることができます。

  • 遺伝子型AAの人数=pp×全個体数
  • 遺伝子型Aaの人数=2pq×全個体数…(c)
  • 遺伝子型aaの人数=qq×全個体数

式cに数値を代入してみましょう。すると、下のスライド3のようになります。

スライド3:問2の計算式スライド3:問2の計算式

このようになり、答えを求めることができました。

ちなみに2pqであることを不思議に思う人もいるかもしれません。なぜ2がついているのかと理解できていない人もいるでしょう。理由は簡単です。メンデル遺伝で交配を行う際に、pqの枠が2つあるからです。図で見たい方のために、スライド2を少し加工したものを下にスライド4として載せておきます。

スライド4:2pqの理由スライド4:2pqの理由

やはり交配の表をつくることが大事だということですね。

要点

次世代の個体数を求めるとために前世代の遺伝子頻度が使えるのは、ハーディー・ワインベルグの法則が成り立っているときだけである。

問3.絶滅による遺伝子頻度の変化を答える応用問題!

問3の問題文

仮に、環境の大きな変動によって、問1の集団αの劣性ホモ個体がすべて絶滅したとする。この集団の次世代γ(ガンマと読む)の遺伝子頻度はどのように変化するか。集団γの優性遺伝子Aと劣性遺伝子aの遺伝子頻度を答えなさい。ただし、数値小数点第三位を四捨五入して答えなさい。

この問題は計算問題です。遺伝子頻度を求める問題ですが、問1の集団αの劣性ホモ個体が絶滅したという設定が付け加えられています。このような問題は、このテーマで割とよく見かける問題パターンです。

まず、問3を解く順番から確認しましょう。以下の2つの手順が必要になります。なお、劣性ホモ個体が絶滅した集団を“集団α’”と扱うことにします。

  1. 劣性ホモ個体が絶滅した集団α’の遺伝子Aとaの数を数える。
  2. 集団α’の遺伝子Aとaの遺伝子頻度を求め、集団γの遺伝子頻度として答える。

では、まず手順①から理解していきましょう。集団α’の遺伝子を数えるためには、下のスライド5のようなことを行います。

スライド5:遺伝子の数え方スライド5:遺伝子の数え方

このように集団α’の遺伝子を数えることができます。遺伝子Aは120個、遺伝子aは48個だとわかりました。

次に手順②です。遺伝子数から遺伝子頻度を算出することができます。そのステップは、下のスライド6のようになります。

スライド6:変化した遺伝子頻度を求めるスライド6:変化した遺伝子頻度を求める

この変化した遺伝子頻度が、そのまま集団γの遺伝子頻度として扱うことができます。なお、“集団α’から次世代の集団γが生じるときにハーディー・ワインベルグの法則が成り立っている”という記載はありませんが、問題はありません。設問の意図を組むと、「集団αから次世代集団γが生じるときは、(ハーディー・ワインベルグの法則が成り立っていないので)そのまま集団αの遺伝子頻度を使うことはできないよ。」というような感じになります。

要点

集団に絶滅などの変化があった場合、その集団の遺伝子頻度は変わる!

問4.変化した遺伝子頻度で次世代の個体数を答える応用!

問4の問題文

問3の集団γが300個体の集団だったとする。このとき、遺伝子型がAaである個体の数を答えなさい。また、個体数は四捨五入をして整数で答えなさい。

この問題は計算問題です。計算方法は問2と同じですが、やはり問3で求めた遺伝子頻度が必要となるので、問3の続問と言うことができるでしょう。

再び登場しましたが、集団の個体数は下の箇条書きのようになります。

  • 遺伝子型AAの人数=pp×全個体数
  • 遺伝子型Aaの人数=2pq×全個体数…(e)
  • 遺伝子型aaの人数=qq×全個体数

この(e)を使って計算してみましょう。すると、下のスライド7のようになります。なお、pとqの遺伝子頻度は、四捨五入する前のものを利用した方がより正確です。

スライド7:問4は変化した遺伝子頻度で個体数を求めるスライド7:問4は変化した遺伝子頻度で個体数を求める

このようにして、答えを求めることができました。

要点

変化した遺伝子頻度で集団の特定の遺伝子型の個体数を求める!

問5.保因者の割合を計算する応用計算問題!

問5の問題文

あるヒトの病気は常染色体劣性の遺伝様式を示す。この遺伝子に対して遺伝子平衡が成立するA島では1万人に1人の割合でこの病気の人が出現し、B島では4万人に1人の割合でこの病気の人が出現した。A島とB島における保因者の割合(%)を求めなさい。

A島
1/10000=1/100×1/100より、
優性遺伝子の遺伝子頻度p=0.99、劣性遺伝子の遺伝子頻度q=0.01
保因者=10000×(2pq+q^2)≒200人
パーセンテージ=200÷10000×100=2(%) 
(※q^2が劣性ホモに相当。)

B島
1/40000=1/200×1/200より、
優性遺伝子の遺伝子頻度p=0.995、劣性遺伝子の遺伝子頻度q=0.005
保因者=40000×(2pq+q^2)≒400人
パーセンテージ=400÷40000×100=1(%) 
(※q^2が劣性ホモに相当。)

※より詳しい解説は準備中です。

問6.血液型のテーマも入った応用計算問題!

問6の問題文

あるヒトの集団においてABO式血液型を調べたところ、A型が55%、B型が16%、O型が9%、AB型が20%であった。このヒト集団ではハーディー・ワインベルグの法則が成り立つものとして、このヒト集団におけるA型遺伝子、B型遺伝子、O型遺伝子の頻度を求め、それぞれ最も簡単な分数で求めよ。

【簡単な解説】

A型遺伝子の遺伝子頻度をx、B型遺伝子の遺伝子頻度をy、O型遺伝子の遺伝子頻度をzと文字で仮定する。

集団の交配表をつくると、以下のようになる。

xAyBzO
xAx2AAxyABxzAO
yBxyABy2BByzBO
zOxzAOyzBOz2OO

よって、集団の血液型の頻度は、

  • A型:x2+2xz=0.55 …(1)
  • B型:y2+2yz=0.16 …(2)
  • AB型:2xy=0.20 …(3)
  • O型:z2=0.09 …(4)

となる。

ここで、式(4)を平方根の計算をしてみると、

  • z=0.3(3/10)

となる。これを式(2)に代入して計算するとyの値が求まり、最後にyの値を(3)に代入するとxの値が求まる。

※より詳しい解説は準備中です。

遺伝の問題のまとめ記事

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総括

ハーディー・ワインベルグの法則と遺伝子頻度の問題は頻出テーマです。なぜ頻出なのかというと、高校生物第5編の計算問題が、今回の問題と“分子進化”くらいしかないからです。なので、是非とも解けるように慣れてほしいと思います。

分子進化の記事も、合わせて読んでみるとよいでしょう。下の記事は、管理人がつくったものです。ぜひ、参考にしてください。

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なお、ハーディー・ワインベルグの法則と遺伝子頻度の計算問題は、プレテストにも登場しています。その内容としては、超難問でした。おそらく解答解説を読んでも理解することに骨が折れると思います。大学入学共通テストの対策として、思考力を磨く努力をすることがよいと思われます。

プレテストの内容は、下のリンクから見ることができます。独立行政法人大学入試センターのページになります。

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