第4章「遺伝情報の発現と発生」 PR

「高校生物」動物の配偶子形成の語句埋め問題とその解説

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この記事では、高校生物の第4章「生殖」に登場する“動物の配偶子形成の語句埋め問題”の解き方について解説を行っています。日常学習のお役に立てたら幸いです。

問題

では、まず問題を解いてみましょう。下のスライド1が問題用紙になります。標準解答時間は8分です。8分経っても解けなかった場合は、解答と解説を見ましょう。

スライド1:動物の配偶子形成の語句埋め問題スライド1:動物の配偶子形成の語句埋め問題

解き具合はどうだったでしょうか。問題の内容はすべて知識問題なので、答えることができなかったものについては以下の解答・解説を参考に知識の補充を行いましょう。

解答

解答は、下のスライド2のようになります。

スライド2:動物の配偶子形成の語句埋め問題の解答スライド2:動物の配偶子形成の語句埋め問題の解答

解説

問1.『始原生殖細胞』を答える問題

この問題は知識問題です。生殖の章の生物用語である『始原生殖細胞』を答える問題でした。

判断材料ですが、リード文に“配偶子のもととなる”細胞と書いてあることに加えて、図1と図2において配偶子形成の最初の細胞になっていることもヒントになっています。

始原生殖細胞は、(多細胞生物において)、生殖細胞(卵・精子)の大元である。

問2.メスとオスの配偶子形成の過程を答える問題

この問題は知識問題です。配偶子形成の過程で生じる細胞の名称を答える問題でした。

一度答えを整理してみましょう。下のスライド3は、図1(メスの配偶子形成)についてまとめたものです。

スライド3:メスの配偶子形成(卵の形成)スライド3:メスの配偶子形成(卵の形成)

メスの配偶子形成の減数分裂では大きさが不均一に分かれます。発生の単元で登場しますが、理由としては卵黄(や母性因子)などの栄養分を卵に多量に蓄えさせることが挙げられます。

また、下のスライド4は、図2(オスの配偶子形成)についてまとめたものです。

スライド4:オスの配偶子形成(精子の形成)スライド4:オスの配偶子形成(精子の形成)

オスの配偶子形成での減数分裂は、均等分裂とされています。また、減数分裂で生じた精細胞が“変形”という過程を経て精子になることも、卵の形成とは異なっています。

これらを解答するうえでのポイントは“減数分裂”と示されている部分だと管理人は思っています。減数分裂第一分裂が起こる細胞は、メスであれば一次卵母細胞(図2の②)、オスであれば一次精母細胞(図3の⑨)です。これらの細胞を起点に前後をなぞると、安心して答えることができるでしょう。

なお、上記の図は教科書にほぼそのまま記載があるので、迷わず答えることが理想です。

動物の配偶子形成の過程で迷ったときは、減数分裂が始まる細胞を起点に考えるとよい。

余談ですが、『減数分裂第一分裂で生じた第一極体は、減数分裂第二分裂の過程で分裂しない場合もある。』と第一学習社の教科書に書いてありました。他の会社の教科書でどうかは調べていませんが、念のため手元の教科書で確認しておくことをおすすめします。

問3.配偶子形成の過程における核相の変化を答える問題

この問題は知識問題です。配偶子形成の過程で生じる細胞の核相を答える問題でした。

まず核相のおさらいです。細胞核が染色体を何セットもっている状態か核相と呼びます。相同染色体を1セット持っていれば核相はn2セット持っていれば核相は2nです。文章だけではわかりにくいので、次のスライド5も参考に見てみましょう。

スライド5:ヒトの相同染色体と核相スライド5:ヒトの相同染色体と核相

スライド5には誤りがあります。『レすべてで1セット』と記入していますが、配偶子(卵・精子)の性染色体は1本しかありません。混乱を招いたと思いますが、あえて上記のような表現にさせていただきました。

上記のように、ヒトの体細胞の核には、染色体が全部で46本含まれます。常染色体と性染色体を含めて23対46本の相同染色体があるので、2セットの染色体を持っています。よって、ヒト体細胞の核相は2nということになります。もし、減数分裂後の配偶子のように染色体を1セット、つまり23本だけある場合の核相はnということになります。

さて、配偶子形成での核相の変化に話を戻します。下のスライド6と7は、メスおよびオスの配偶子形成における核相のまとめになります。

スライド6:メスの配偶子形成における核相の変化スライド6:メスの配偶子形成における核相の変化
スライド7:オスの配偶子形成における核相の変化スライド7:オスの配偶子形成における核相の変化

始原生殖細胞の核相は、体細胞と同じく2nです。また、始原生殖細胞の体細胞分裂で生じる卵原細胞・精原細胞と、さらにそれから体細胞分裂で生じる一次卵母細胞・一時精母細胞の核相も2nになります。そして、減数分裂の結果生じる細胞の核相はnになります。

参考までに、減数分裂における相同染色体の挙動をスライド8にまとめておきます。組み合わせや乗換えは無視していることをご了承ください。

スライド8:減数分裂における染色体の挙動スライド8:減数分裂における染色体の挙動

減数分裂の過程で核相が変わることをおさえておこう。加えて、受精卵になるときも核相が変わることも覚えておこう。

核相はnと2nだけではなく、他にもあります。教科書でよく紹介されている“種なしスイカ”は3n、つまり相同染色体を3セット持ちます。また、人為的に4n、5nなどの植物体をつくることも可能です。また、2n+1のように、相同染色体が2セットといずれかの染色体を加えて1本持つような核相も存在します。

現行の教科書で消えたのかもしれませんが、“倍数性”と“異数性”という生物用語があります。倍数性はセットがきれいに揃っているn、2n、3nなどの状態を、異数性はセットがきれいに揃っていない2n+1や2n-1などの状態を指します。

問4.精子の構造を答える問題

この問題は知識問題です。図3を見て、精子の構造の名称を答える問題でした。

精子の構造は暗記になるので、覚えていたものをそのまま答えることになります。整理すると下のスライド9のようになります。

スライド9:精子の構造のまとめスライド9:精子の構造のまとめ

精子の典型問題で『べん毛の起点となる細胞小器官を答えなさい。』というものがあります。これは上のスライドのように、“中心体”となります。この文を読んだ機会に覚えておくとよいでしょう。

問5.先体の由来と含まれる酵素の特徴を答える問題

この問題は知識問題です。先体の由来となる細胞小器官の名称を答え、また、先体に多く含まれる酵素の特徴も答える問題でした。

答えをまとめると、次のようになります。

問5の解答
  • 先体の由来となる細胞小器官は、ゴルジ体。
  • 先体に多く含まれる酵素は、タンパク質分解酵素である。

なお、先体のタンパク質分解酵素は、受精の際に卵のゼリー層を分解するはたらきがあります。ウニの受精については下の内部リンクにまとめているので、知識に自信のない方は読んでみてください。

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総括

動物の配偶子形成に関する知識問題だけの扱いでしたが、いかがだったでしょうか。教科書に太字で書いてある用語を暗記することは、とても重要なことです。しかし、単に覚えるだけでなく、それらに関連する事象の理解をすることも大事なことです。今回の場合だと、問3の核相について理解があったかどうかが、1つのポイントだと思います。暗記した用語やその意味は考察などの発展問題を解く上での土台として欠かせないので、常日頃から用語と意味を理解することを意識して勉強していくことがよいでしょう。

おわりに

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ABOUT ME
シカマル
32歳の元予備校生物教師(男)です。「Web環境は学びの場になるのか」という疑問を糧に、“高校生物の学び舎”を運営しています。不真面目でしたが筑波大学生物学類卒、卒研テーマはタンパク質抽出でした。生き物は苦手で、知識や思考の方が好きです。一応、小・中・高の教員免許を持っています。
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