第3章「遺伝情報の発現」

「高校生物」遺伝子組換えの問題解説|ブルーホワイトセレクション

この記事では、高校生物の第3章「遺伝情報の発現」に登場する“大腸菌の遺伝子組換えの問題(ブルーホワイトセレクション、別名『青白選択』)”について解説を行っています。日常学習のお役に立てたら幸いです。

問題

では、まず問題を解いてみましょう。下のスライドが問題用紙になります。標準解答時間は10分です。10分経っても解けなかった場合は、解答と解説を見ましょう。

スライド1:ブルーホワイトセレクションの典型問題スライド1:ブルーホワイトセレクションの典型問題

難しかったでしょうか。ブルーホワイトセレクションは教科書に記載がありますが、章末の発展内容なので授業で習う機会は少ないかもしれません。しかし、センター試験などでは典型的な問題なので、これを機に解けるようになることをお勧めします。

解答

問1の解答

白色

問2の解答

  • 条件1:生存できない
  • 条件2:生存できる、青色
  • 条件3:生存できる、白色
  • 条件4:生存できる、白色
  • 条件5:生存できる、青色
  • 条件6:生存できる、白色

解説

問1.ブルーホワイトセレクションの典型問題!

この問題は考察問題です。ブルーホワイトセレクションの典型問題として、遺伝子組み換えが起きた大腸菌のコロニーの色を答える問題でした。

ブルーホワイトセレクションにおける遺伝子組換えが起きた大腸菌は、白色のコロニー内に存在しています。この問題の解き方がわからない方は、感覚的には着色している青色を選びがちですが、青色のコロニー内の大腸菌は遺伝子組み換えを起こしていません。なお、通常の大腸菌のコロニーの色は白色ですが、遺伝子組み換え実験はまず高校で行うことができないので知らない方も多いと思います。

では、問題の解き方を確認しましょう。要点を言うと、次のスライド2のようになります。

スライド2:組換えプラスミドが入った大腸菌のコロニーは白色になる。スライド2:組換えプラスミドが入った大腸菌のコロニーは白色になる。

上のスライド2だけでわからなかった方向けに、詳細を順を追って説明します。

まず注目すべきは、培地に含まれている“X-gal”とプラスミド内の“β-ガラクトシダーゼ遺伝子”です。実験の操作手順②には、次のような文章がありました。

X-galはβガラクトシダーゼによって分解されると、青色を呈する。

よって、X-galとβ-ガラクトシダーゼ遺伝子の両方が存在すると、青色を呈することになります。

また、操作手順③には、次のような文章がありました。

制限酵素で図1のプラスミドのマルチクローニングサイト部位を切断し、増幅して得たDNA断片とプラスミドをDNAリガーゼで結合させる

マルチクローニングサイトは、β-ガラクトシダーゼ遺伝子内にあります。そして、マルチクローニングサイトにDNA断片が挿入されると、β-ガラクトシダーゼ遺伝子の塩基配列は途中で分かれることになるので、正常なβ-ガラクトシダーゼが合成されなくなります。ゆえに、DNA断片が挿入された組換えプラスミドを持つ大腸菌はβ-ガラクトシダーゼを合成できず、X-galを分解することができないので、通常の色と同じ白色になります。

まとめなおすと、下のスライド3のようになります。

スライド3:問1のまとめスライド3:問1のまとめ

あまり解説がスマートでなかったように感じますが、問1の解き方はおおよそこんなかんじです。

うっかり書き損じるところでしたが、アンピシリン耐性遺伝子も重要です。培地には抗生物質であるアンピシリンが含まれているため、アンピシリン耐性遺伝子を持たない場合、つまりプラスミドが入らなかった大腸菌は死滅してしまいます。問1だけを見るとこのことは重要ではないように思えますが、次の問2でアンピシリンを培地に含める重要性がわかります

また、次の2点にも注意してください。

  1. 切断されたプラスミド・DNA断片・DNAリガーゼが揃っていても、すべてのプラスミドがDNAを挿入されるわけではない。線状になっているプラスミドの末端どうしがDNAリガーゼで結合されて、DNA断片が挿入されない場合もある
  2. ヒートショックの際、すべての大腸菌にプラスミド・組換えプラスミドが入るわけではない。プラスミドが入らなかった大腸菌も培地に塗り付けるまでは存在する。

問2を設けたのは、このあたりを包括的に理解するためでもあります。

ブルーホワイトセレクションにおける遺伝子組換え大腸菌は白色と判断する過程を、しっかりと理解しておこう。安易に白色覚えておくだけだと、次の問2で混乱することになります!

問2.抗生物質の重要性を問う考察問題!

この問題は考察問題です。設定された大腸菌が指定された培地で生存できるかとともに、生存できる場合はコロニーの色も答える問題でした。

改めて、問2の表を見てみましょう。

プラスミドが入らなかった大腸菌遺伝子挿入しなかったプラスミドが入った大腸菌遺伝子挿入したプラスミドが入った大腸菌
アンピシリン+X-gal条件1条件2条件3
X-gal条件4条件5条件6

最初に、3種の大腸菌に焦点を当てて解説したいと思います。表の3種の大腸菌では、遺伝子を持つ持たないによって、次のスライド4のような違いがあります。なお、上記のスライド3をもとにして、スライド4は略して作っています。

スライド4:問2で設定された3種の大腸菌の特性スライド4:問2で設定された3種の大腸菌の特性

あとはこれを、『アンピシリン+X-gal』と『X-gal』の場合に当てはめます。すると、次のような表になります。(※表を見てよくわからない場合は、画面を上にスクロールして問1のスライド2以降を確認してください。)

プラスミドが入らなかった大腸菌遺伝子挿入しなかったプラスミドが入った大腸菌遺伝子挿入したプラスミドが入った大腸菌
アンピシリン+X-gal生存できない生存できる、青色のコロニー生存できる、白色のコロニー
X-gal生存できる、白色のコロニー生存できる、青色のコロニー生存できる、白色のコロニー

※アンピシリン耐性遺伝子がなければ抗生物質であるアンピシリン条件下で生存することはできない。また、β-ガラクトシダーゼ遺伝子がなければ、X-galを分解して青色を呈することはできない。

以上のような形で、問2を解くことができました。

問2を解くことで気づいてほしいことがあります。それは、培地にアンピシリンがなければ“プラスミドが入らなかった大腸菌”も白色のコロニーとして存在し、組換えプラスミドで遺伝子組換えが起きた大腸菌との見分けがつかないのです。問1ではアンピシリンとその耐性は重要ではありませんでしたが、実際にブルーホワイトセレクションを行う場合は最低1種類の抗生物質およびその耐性遺伝子が必要になります。これを知ってもらうために問2を用意しました。

アンピシリンを遺伝子組換え実験時の抗生物質としてよく見かけますが、他の抗生物質が問題に登場することもあります。カナマイシンなどが挙げられます。だいたいの問題では、問題文や図を読み解くと馴染みのないカタカナ物質が抗生物質であると判断できる傾向があります。

総括

この記事では、遺伝子組換え技術のうちブルーホワイトセレクションについて問題解説をさせていただきました。このテーマの難易度は高く、論理的に思考を積み上げないと考察することが難しいです。理解するためには多少時間がかかると思いますが、頻出テーマなので必ず理解で答えることができるようになりましょう。

ちなみに、新しい遺伝子組換え技術として“ゲノム編集”が台頭し始めました。実際研究の現場でどの程度普及されているのか管理人は知りませんが、近いうちゲノム編集が遺伝子組換え技術の代表格になると思います。難関大学ではゲノム編集をテーマとした問題も出題されているようなので、高みを目指す方はゲノム編集についても調べてみるとよいでしょう。

下の2つは、ゲノム編集についての外部サイトです。

ブルーホワイトセレクションがメジャーになる以前は、2種の抗生物質を実験に用いることで遺伝子組換えが起きた大腸菌を判断する実験が用いられていました。この実験も大学入試問題に登場するので、そのうち紹介したいと思います。

おわりに

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以上でこの記事は終わりです。ご視聴ありがとうございました。

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