この記事では、高校生物の先生(教師)になりたいと思う高校生のために、その夢を実現するための方法を、実体験をもとにお伝えします。
管理人も高校で生物を教えていた経験があるので、それを踏まえて説明します!
教員免許を取得しなければならない!
まず、高校の先生になるためには、高等学校〇〇教員免許というものが必要です。
この〇〇というところには、教科が当てはまります。
それなら、高等学校生物教員免許ってことかな?
いえいえ、取得すべきは、高等学校理科教員免許です!
高等学校の“理科”の教員免許なので、化学・物理・生物・地学の4科目を教えることができる免許になります。
高等学校理科教員免許の取得方法は?
高等学校理科教員免許は、大学で教育課程のカリキュラムの単位を取得することで、大学卒業時に付与されます。
大学ならどこでもいいんだね?
いえいえ、大学を選ぶときはしっかりと情報を調べてください!
すべての大学および学部、学科で高等学校理科教員免許を取得できるわけではありません。
なので、志望大学と学部、学科を決める際には、その大学で免許を取得することができるかを調べる必要があります。
インターネットで大学を調べると、だいたいの大学は教員免許を取得できるかどうか書いてあります。
調べた際に、その大学・学部・学科で取得できる免許が高等学校理科教員免許であることを必ず確認しましょう。
ちなみに、教員免許には他にも、
- 幼稚園教員免許
- 小学校教員免許
- 中学校〇〇教員免許(〇〇は教科、「理科」など。)
- 特別支援学校教員免許
などがあります。
基本的には、高校生物の先生になるためには高等学校理科教員免許が必須です。
この点は必ずおさえておきましょう!
厳密には、教員免許はランクで分かれています。
- 短大卒業程度:第二種免許
- 大学学士卒業:第一種免許
- 大学修士卒業:専修免許
このランクの違いは、初任給に反映されることがあります。その場合は、
第二種<第一種<専修
の順に給与が高くなる傾向にあります。
教育学部と理学部どっちがいい?
高校生物の先生を目指す高校生がよく悩む要素の1つに、教育学部と理学部のどちらがよいかということです。
高等学校理科教員免許を取得するという結論だけを見れば、取得のためのカリキュラムが組まれてさえいればどちらでもよいです。
ただし、大学4年間で“培う力”と“労力”には違いがあります。
教育学部の傾向としては、
- カリキュラムが卒業に必須の科目である。
- 教育内容や方法を、詳しく学ぶことができる。
というような感じです。
理学部の傾向としては、
- カリキュラムは卒業に必須の単元ではない。必須授業の合間で、教職課程を履修しなければならないので、苦労する。
- 卒業に必須の授業は、理学系の専門の内容である。教育内容や方法論は、最低限しか学ばない。
というようになっています。
労力的な面だけで見ると、教育学部の方がよいかもしれません。
しかし高校生物は、高校生が学ぶ範囲だと言えど専門的です。
なので、理学部(の生物学科)で生物学について専門的な知識や実験スキルを身に着けることも、もちろんメリットがあります。
ここ百年もでしたが、先数十年に関しても生物学はすさまじいスピードで進歩していくとされているので、生物学の最先端を学んでおくと、教科書の改訂に取り残されないで済むかもしれません。
一方で教育学部では、日本の最新の教育方法を学ぶこともできると思います…。
大学選びは自身の成績と要相談ですが、どんなスキルを身に着けてどんな生物の先生になりたいかによって、教育学部にするか理学部生物学科にするかの選択を変えるとよいでしょう!
大学4年生時に採用試験を受ける
都道府県立・市立高校で教育公務員として働きたい場合
高校生物の先生には、免許を取得するだけではなることができません。
教員免許の取得見込みが立っている状態で、“教員採用試験”に合格する必要があります。
一般的に“教員採用試験”と呼ばれている試験は、県あるいは市が行っているものです。
この試験で合格しなければ、県立・市立の高校で正規の教員になることはできないのです。
試験を受ける場合は、“高校生物”に応募して、その内容に沿った試験を受けます。
一次試験では、高校理科4科目のテストと教職教養・一般教養のテストがあるのが一般的です。
一次試験に合格できた場合、二次試験では面接、模擬授業、模擬生徒指導などのテストを受けます。
二次試験に合格すると、晴れて翌年度の教育公務員となることができます。
※“高校生物”の枠で合格したとしても、他の理科の科目を担当する場合もあります。
大学院修士課程に進んだ場合、特別な措置を受けることができる場合があります。修士1年生のときに教員採用試験に合格した場合、1年間の採用留置をしてくれる都道府県があるのです。つまり、修士2年生では就職活動をする必要がなくなり、修論研究に専念できます。
私立高校でサラリーマンとして教員になる場合
教育公務員ではなくて私立の高校で生物の先生になる場合は、就職活動が異なります。
私立の高校での採用は学校単位なので、自身で学校の採用情報をチェックして、募集があったときに応募することができる、といった具合です。
これは、大学生の一般的な就職活動と同じようなものになります。
採用情報は、学校からの発表のみの場合もあれば、県単位で私立高校の採用情報をまとめているHPで公開されている場合もあります。
また、県の私立高等学校組合が実力テストを行っている場合もあります。
この試験で良い成績をとると、高校の方からオファーが来るケースもあります。
もちろん採用に当たっては高校理科教員免許の取得が厳守になっている場合が多いので、卒業と同時に免許取得ができることが大前提になります。
管理人もこの実力テストを受けたことがあります。ランクはA~Dで分けられていましたが、高校生物はAランクで教職教養はCランクでした。ちなみにこの成績で、3校からオファーがありました。あくまでご参考程度に…。
非正規の講師になるという選択肢も…
教育公務員あるいはサラリーマンとして高校生物の先生を目指しても、残念な場合では正規の教員になることができない場合もあります。
教員採用試験に合格できなかった場合や、私立高校での正規での就職ができなかった場合です。
この場合は、非正規の講師として働く可能性が残っています。
教員採用試験に応募するとき、書類の中に「合格できなかった場合、講師として働くことを希望するか?」という項目を見つけることができます。
ここをYesにしていて教員採用試験が不合格だった場合、都道府県または市の教育委員会から講師として働かないか連絡が来る場合があります。
ちなみに連絡が来るのは一般的に3月で、この時期になっているのは正規教諭の人事が決まってから講師を探すためです。
また、悲しい話ですが、この連絡は不合格者全員の中でも一部に対してだけみたいです。
卒業式のある3月まで待って講師職の連絡を待つ、という手段もありますが、最悪仕事が決まらないまま卒業することになるかもしれないので、やはり教育公務員または私立教諭の採用試験に合格していることが望ましいです。
少しでも自分の強みをアピールするために
就職活動では、自分の強みをアピールすることが大事です。
管理人の場合、大学卒業時に高校理科だけでなく中学校理科の免許を取得することができましたが、念のために大学では取れない小学校教員免許も取得しました。
小学校教員免許は、大学のカリキュラムで取得不可能だったとしても、文部科学省が年に1回行っている“小学校教員免許取得試験”というものに合格することで取得することができます。
なお、合格率は約1%という、非常に狭き門です。
ですが管理人は、少しでも自身の教員としての素質をアピールするために小学校教員免許も取得したのでした。
このように、何らかの形で教員の素養をアピールできると、試験に強いかもしれないです。
高校生物の先生になったら
学校の先生の勤務は、かなりハードです。
学級担任、授業準備、校務分掌、部活指導、進路指導、保護者対応、その他いろいろ、際限なく仕事があります。
なので、体を壊さないようにうまくやっていくことが大切です。
その中で、自分がどんな“先生”になりたいかを模索しつつ、頑張るとよいと思います。
生徒は先生のことをよく見ています、頑張っていたら逆に応援してくれます。
そんな生徒たちに“何か”を還元できる先生になることが理想的でしょう。
その“何か”は、おそらく最初の志では「高校生物」だったはずです。
だからこそ、日常勤務の合間を縫って、最新の生物学や受験生物を学んでいきましょう。
「高校生物」を好きになった生徒がいたら、教員としての仕事の本望だと思います。
まとめ
長々と失礼しましたが、まとめると下記のとおりです。
- 大学受験で、高校理科教員免許を取得できる学部・学科に合格する。
- 教職課程のカリキュラムを履修し、単位を積み重ねて、卒業時に高校理科教員免許を取得できる状態にする。
- 採用試験で高校生物の教員に合格する。
以上、管理人の実体験を元に書かせていただきました。
参考になれば幸いです、ガンバ!