今年度(令和3年度)からセンター試験は廃止され、新たに大学入学共通テストが始まります。生物基礎・高校生物受験者が共通テストの対策としてどんなことを行うとよいか、出版物などの情報を元に紹介したいと思います。
※活用できる参考書・問題集が新たに出版され次第、更新する予定です。
以下の内容は得点を保証するものではなく、あくまでもアドバイスです。ここで紹介した情報だけでなく、学校や塾の先生からも最新の情報を得ることを心がけてください。
生物基礎の共通テスト対策
プレテスト分析
平成29年度プレテストでは生物基礎がなかったため、平成30年度プレテストが分析の材料になります。
プレテストと昨年度までのセンター試験を比較すると、プレテストであまり変わらない点と大きく変わった点があります。
まず、あまり変わらない点については、次の要素を挙げることができます。
- 大問は3つ構成で、大問1は第1章『生物の特徴』と第2章『遺伝子とその働き』から出題、大問2は第3章『生物の体内環境』から出題、大問3は第4章『植生の多様性と分布』と第5章『生態系とその保全』から出題された。
- ABの小問区分があった。
- 問題の量と配点は、大問3つで概ね同程度であった。
- 知識問題だけでなく、計算問題・グラフの読み取り問題・考察問題があった。
次に、大きく変わった点については、次の要素を挙げることができます。
- センター試験ではなかった会話形式のリード文が2つも見られた。
- 会話形式のリード文は、分野横断的な内容であった。
- 知識問題の量は減少し、形式は穴埋めではなく正誤を問うものが主だった。
- 計算問題は従来は1問ある程度だったが、プレテストでは3問に増えた。
- 考察の量は増え、図・表・グラフだけでなく、会話文に合う文章を選ぶものもあった。
このような傾向で出題された結果、平成30年度プレテストの生物基礎の平均得点率は47%、つまり半分の25点(/50点)程度でした。過去3年のセンター試験生物基礎の平均得点率が60%、つまり30点(/50点)を超えていることを踏まえると、難易度は上がっていると捉えることができます。(※平均点の推移は、こちらの大学入試センターのHPで見ることができます。)
では、変わらない点・変わった点を踏まえて、生物基礎の対策を練ってみましょう。
主な対策(案)
生物基礎の共通テスト対策は、次の3つの段階に分けて行うことをお勧めします。
- 教科書の内容を理解し、暗記する。
- 典型問題を演習し、確実に解けるようになる。
- プレテストに似た傾向の問題で演習する。
まず第1段階としては、教科書にある内容の理解と暗記です。問題を解くときには、必ず教科書にある知識が求められます。共通テストでは単純に単語を問うような問題は見られないと予想されるため、単純な暗記ではなく、事柄を理解することが必須です。これは教科書の文章だけでなく、図やグラフの読み取り方法なども当てはまります。プレテストでもかなり細かい知識が要求されたため、満点を目指すのであれば教科書の隅から隅まで理解して暗記することが欠かせません。
次に第2段階では、典型問題を解けるように問題集で演習しましょう。学校専売のリードαやセミナーは、典型問題を網羅しているので特にお勧めです。知識を答える問題だけでなく、計算問題、グラフの読み取り問題、考察問題なども、必ず取り組みましょう。第2段階の時点では、あれこれといろんな問題集に手を出すのではなく、良質な問題集一冊のみに集中して取り組んで、典型問題に対する土台を固めましょう。
最後の3段階目としては、プレテストに似た傾向の問題を演習することがよいでしょう。先に挙げたように、プレテストでは会話形式が新たに登場し、また単純ではない計算問題の増加や考察の量とパターンの変化がありました。これらの新しい要素に少しでも慣れるためには、似た傾向の問題を演習することが望ましいと言えます。ただし、プレテストで変化した問題形式を解く際は、典型問題を理解できるくらいの力量が必要です。また、共通テスト初年度の場合は対策本の種類が少なく演習材料として貴重かもしれないので、しっかりと第2段階を踏んだうえで本番に向けた演習を行いましょう。
受験勉強は時間との勝負です。文系高3であれば(おおよその学生が)生物基礎の授業を一周していると思います。その場合は、第一段階と第二段階を並行して行い、夏までには典型問題を完成して夏から本番形式の演習に取り組むと大きくリードできると思います。
『プレテストに似た傾向の問題を演習する』と書きましたが、プレテストを試しに解いてみるタイミングについてはいろんな考え方があり、一言にこれだと言えるものはないです。
一番望ましいタイミングは、“プレテストの傾向を理解できる”ときだと管理人は思っていますが、それくらいに達している人は生物基礎をほぼマスターしていると言っても過言ではないようにも感じます。かと言って、プレテストの内容と普段使っている問題集の質の違いが全くわからないときに解くことは、非常にもったいないです。その辺りの一長一短を考慮すると、夏の終わりくらいが適しているのかもしれません…。余裕があるのであれば、3カ月は本番を意識して演習したいところです。
当サイトで使える要素
まず、知識の確認に関しては、次のようなものを作成している段階です。
次に、計算やグラフ・実験の典型問題に関しては、当サイトで問題を用意し、その解説も行っています。
また、暗記に使えるまとめPDFも用意しています。ぜひスマホにダウンロードして活用して下さい。
当サイトの記事を使う際は、教科書と照らし合わせて利用して下さい。教科書の改訂などの理由により、情報が古くなっている場合があります。
共通テスト「生物基礎」対策で使える本
※2020年4月15日現在での情報です。新しい出版物を見かけたら、更新する予定です。例年と同じであれば、夏頃には各予備校が本番形式の問題集を出版すると思います。
実教出版『2021問題タイプ別大学入学共通テスト対策問題集』
実教出版からは、問題タイプ別の対策問題集が発売されています。
ページ数は約110と薄い問題集ではありますが、知識の確認、実験・考察・計算問題対策、三回分の模擬問題と、かなり充実した一冊になっています。典型問題だけでなく、発展的な考察問題の扱いもあり、また模擬問題では会話文形式を取り入れるなどの点においても、文系の学生が生物基礎の対策に取り組むには、良い本だと思います。この一冊でベースをつくり、秋頃から他の模擬問題問題集で実践演習を重ねることが、よいかもしれません。
管理人の主観では、この本の難易度は“普通”くらいだと思っています。初級者~中級者向きです。
Z会『ハイスコア!共通テスト攻略』
Z会による、共通テスト生物基礎の対策本です。
今のところ、唯一全ページカラー印刷の共通テスト対策本です。知識の確認に重点を置いており、教科書よりも知識内容がよくまとまっています。また、単元ごとには確認問題が登場します。
生物基礎の知識が全然定着していない人は、この本のコンパクトなまとめを重宝するかもしれません。初級者~中級者向きです。ただし、登場する確認問題の難易度は、やや高めです。
数研出版『カテゴリー別大学入学共通テスト対策問題集』
数研出版からは、カテゴリー別の共通テスト対策問題集が出版されています。
ページ数は約65と薄いですが、130個の問題を扱っています。構成は、①知識の確認、②グラフ・図・資料を読み解く問題、③実験問題、となっており、すべてマーク(選択)式です。単問での演習に特化している一冊であり、特に③の実験問題は文章量が多く、共通テストを意識して作問している工夫を感じます。
管理人の主観では、この本の難易度は“難しい”くらいだと思っています。知識が定着しており、かつ典型問題もある程度解けるような上級者向きです。
教学社『共通テスト_スマート対策』
教学社からは、『スマートシリーズ』が出版されています。
構成は、知識の簡単なおさらいがサブで、過去問を引用した演習問題がメインとなっています。過去のセンター試験における生物基礎や生物Ⅰ、生物ⅠA・ⅠBの問題が単元別に並んでいる点が、赤本との違いです。
化学基礎または地学基礎とセットになって販売されており、両方の過去問をカテゴリー別で演習したい方は、この本が向いているのではないでしょうか。
Z会『はじめての共通テスト対策』
Z会による、プレテスト問題解説&オリジナル模試(1回分)の本です。地学基礎・生物基礎版も売っています。
オリジナル模試を解いてみましたが、プレテストと同レベルの難易度になっていました。プレテストでレベルを把握している方が、勉強をし直してもう一度本番を意識して演習したいときに重宝すると、管理人は感じました。
プレテストの傾向を把握したい人、またはプレテストと同様の難易度の模試で実力を試したい人向きです。
高校生物の共通テスト対策
プレテスト分析
(準備中)
主な対策(案)
(準備中)
共通テスト「高校生物」対策で使える本
(準備中)
総括
(準備中)
以上でこの記事は終わりです。ご視聴ありがとうございました。