第3章「生物の体内環境」 PR

「高校生物基礎」魚類の体液濃度調節のしくみをわかりやすく解説

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今回は、「生物基礎」の第3章“生物の体内環境”に登場する魚類の体液濃度調節のしくみをなるべくわかりやすく解説することを試みようと思います。

まずは、まとめから

先にまとめのスライドを紹介しておきましょう。

淡水魚の体液濃度調節

まず、淡水魚の体液濃度調節について、スライド1にまとめます。

スライド1:淡水魚の体液濃度調節のしくみスライド1:淡水魚の体液濃度調節のしくみ

海水魚の体液濃度調節

次に、海水魚の体液濃度調節について、スライド2にまとめます。

スライド2:海水魚の体液濃度調節のしくみスライド2:海水魚の体液濃度調節のしくみ

これを見てもごちゃごちゃしてよくわからないと思います。実は、このしくみは浸透圧という現象を理解すると、暗記しなくても推察でわかるようになります。

まず、浸透圧を生物基礎レベルで理解しましょう。

浸透圧(生物基礎レベル)

水は、生体膜を介して、低濃度側から高濃度側へ移動します。

生体膜は、半透性と呼ばれる性質をもちます。水分子などのごく小さな分子は生体膜を通過できますが、大きな分子は生体膜を通過することができません。この半透性という性質を簡単な実験で試すと、下のスライド3のようなかんじになります。

スライド3:U字管を用いた浸透の実験スライド3:U字管を用いた浸透の実験

生物基礎レベルでは、浸透圧の細かいところまで理解する必要があるかについては、微妙なところです。取り扱いのある教科書とない教科書があるので、一応学んでおいた方がよいと思います。

水は、半透性を示す生体膜を介して、低濃度から高濃度側へ移動する。この現象を浸透と呼ぶ。

淡水魚の体液濃度調節のイメージ

イメージを、下のスライド4にまとめました。解説は、スライドの下に用意してあります。

スライド4:淡水魚の体液濃度調節のしくみをイメージするスライド4:淡水魚の体液濃度調節のしくみをイメージする

ニュアンスで伝えますが、次のように考えると簡単に理解することができます。

  1. ぼく、淡水魚!
  2. 外界の淡水の方が濃度が低いから、浸透圧で水が体内にたくさん入ってくるの!
  3. 水が体に入ってきて体液濃度が下がりそう! 大変!
  4. でも、えらと腎臓で塩類を吸収するから、体液濃度を維持できるんだ!
  5. 水がたくさん入ってきた分、尿もたくさん出るよ! 腎臓で塩類を吸収してるから、尿の濃度は体液よりも低いよ!

これくらいざっくりな考えで、問題は十分解けます。スライド1の図を暗記するのではなく、この考えの筋道を理解することに努めましょう

海水魚の体液濃度調節のイメージ

イメージを、下のスライド5にまとめました。解説は、スライドの下に用意してあります。

スライド5:海水魚の体液濃度調節のしくみをイメージするスライド5:海水魚の体液濃度調節のしくみをイメージする

海水魚の場合もニュアンスで伝えますが、次のように考えると簡単に理解することができます。

  1. わたし、海水魚!
  2. 外界の海水の方が濃度が高いから、浸透圧で水が体の外にたくさん出るの!
  3. 水が体から出ていっちゃって体液濃度が上がりそう! 大変!
  4. でも、海水を飲んで腸で水をたくさん吸収して、それにえらで塩類を排出するから、体液濃度を保つことができるの!
  5. 尿の量は少しだよ、せっかく吸収した水を排出するのはもったいないもん! ちなみに、尿の濃度は体液と同じくらいの濃度だよ!

★上記のニュアンス表現⑤にて、排出する尿の濃度を『海水と同じくらいの濃度』と表現していましたが、これは誤りです。正しくは『体液と同じくらいの濃度』です。誤った表記をしており、大変失礼しました。

海水魚もこれくらいざっくりな考えで、問題は十分解けます。スライド2の図を暗記するのではなく、この考えの筋道を理解することに努めましょう。ちなみに、尿の濃度が高濃度ではなく体液と等濃度であることだけは暗記しておいた方がよいです。

海水魚の尿の濃度は、体液と等濃度である。

確認テスト

問題

淡水魚と海水魚の体液濃度調節のしくみとして適切なものを、下の選択肢の中から全て選びなさい。なお、選択肢にはどちらの解答にも該当しないものも含まれている。

  1. 外液よりも体液濃度が高い。
  2. 外液よりも体液濃度が低い。
  3. 外液の塩類をえらと腎臓で吸収する。
  4. 塩類をえらから外液へ放出する。
  5. 体液よりも高濃度の尿を排泄する。
  6. 体液と同程度の濃度の尿を排泄する。
  7. 体液よりも低濃度の尿を排泄する。
  8. 尿は大量である。
  9. 尿は少量である。

解答

淡水魚:①、③、⑦、⑧

海水魚:②、④、⑥、⑨

総括

教科書に載っている魚類の体液濃度調節の図を見ると、まるでそのまま覚えてしまわないといけないかのように捉えがちです。丸覚えをしないといけない場合ももちろん生物基礎にはありますが、覚えることがたくさんあるので理解することで答えを導けるものは考え方だけ理解しておけばよいと思います。らくができるところはらくをすることも、また勉強の工夫の在り方だと管理人は思います。

この記事でらくができた分、他のテーマの勉強に時間を割きましょう。

追伸:カニの体液濃度調節の問題解説もつくりました。

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おわりに

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以上でこの記事は終わりです。ご視聴ありがとうございました。

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POSTED COMMENT

  1. sakana より:

    失礼いたします

    海水魚の説明の
    「尿の量は少しだよ、せっかく吸収した水を排出するのはもったいないもん! ちなみに、尿の濃度は海水と同じくらいの濃度だよ!」

    は間違いではないでしょうか
    体液と同じくらいの凡そ0.9%の塩分濃度が正解で
    海水の塩分濃度の尿は作れないと認識しています

    • シカマル より:

      sakana 様
      閲覧およびコメントありがとうございます。

      ご指摘の通り、私の表記が誤っておりました。
      急ぎ修正しましたので、よろしければご確認ください。

      この度は誤りを指摘して頂き、誠にありがとうございました。

      管理人シカマルより

  2. 北北東の風 より:

    海水魚の場合、口から海水を飲んで腸から水を多量に吸収するとありますが、水だけを吸収して塩類は便として排出するということでしょうか。それとも海水をそのまま腸から吸収するということでしょうか。

    • シカマル より:

      北北東の風 様
      コメント及びご質問ありがとうございます。

      高校生物の資料集(スクエア生物)を確認してみました。
      海水魚の水分吸収に関しては、
      ①腸で海水の塩類を吸収する。
      ②塩類の吸収により腸細胞の浸透圧が上がり、腸で水を吸収する。
      ③体内の過剰な塩類は、えらの塩類細胞で排出する。
      ④腎臓で塩類を排出し、体液と等張な濃い尿を少量排出する。
      とありました。
      ご質問に関しては、『海水をそのまま腸から吸収する』の方が実際に近いと思われます。

      今後とも高校生物の学び舎をよろしくお願いいたします。
      管理人シカマルより

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