この記事は、生物基礎の第3章“生物の体内環境”のまとめ語句埋め問題(現在6000字相当)です。“遺伝子とその働き”を学び終わったあとの復習に使ってください。なお、難易度をやや高くしている部分もあります。
なお、黄色いマーカーの部分を範囲選択すると、答えを反転して見ることができます。
かなりボリュームがあるので、①時間があるときに演習する、または②ブックマークしておいて隙間時間に勉強することをオススメします。
それぞれの単元の末尾には、より詳しく解説している内部リンクを紹介しています。必要な場合はそちらも参考にしてください。
※まとめとしての品質向上のため、ご感想をコメントで頂けたら幸いです。
※参考文献:改訂高等学校生物基礎(第一学習社)
※この記事は未完成です。今後更新していきますので、完成をお待ちください。
第1節『体液とその働き』
体内環境と恒常性
1.恒常性
生物のからだを取り巻く環境を[外部環境(体外環境)]と呼び、からだの中の環境は[内部環境(体内環境)]と呼ぶ。多細胞生物の細胞は基本的に[体液]に浸されており、体液こそが細胞にとっての環境になっている。
外部環境は気候によって変化するものだが、生物は体内環境を一定に保ち、生命を維持する性質をもつ。この働きのことを[恒常性(ホメオスタシス)]と呼ぶ。一定に保つ要素としては、次のようなものがある。
体温、水分量、酸素濃度、イオン濃度、血糖値、ホルモン濃度、など
恒常性の機能があるからこそ、体内の組織や細胞は安定した活動を営むことができる。
体液と物質の輸送
1.体液の種類
体内の水分のことを、[体液]と呼ぶ。体液は細胞を覆う環境だけでなく、体内を循環して必要な物質を細胞や組織・器官に送り届けたり、老廃物を細胞や組織・器官から排出器官に送り出したりしている。
ヒトを含む脊椎動物の場合、体液は3つの種類に分けられる。その3つとは、①血管内を流れる[血液]、②組織の細胞を満たす[組織液]、③リンパ管内を流れる[リンパ液]である。
体液が血液、組織液、リンパ液の3種に分けられるとはいっても、これらの体液も循環している。例えば、血液と組織液は血管壁にある微細な穴を通じて行き来しており、この関係は組織液とリンパ液にも見られる。また、血管はリンパ液と接続しており、動脈→リンパ管→静脈という体液の流れも見られる。
2.血液の成分と働き
血液の成分は、細胞成分である[血球]と液体成分である[血しょう]からなる。血管内での血球は、3種([赤血球]、[白血球]、[血小板])である。
ヒトの赤血球は、直径約[7.5μ]mの大きさで、中央がくぼんだ形をしている。細胞だが[核]を持っていない特徴を持つ。主な機能は[酸素]の運搬で、その役割は赤血球内の[ヘモグロビン]というタンパク質が担っている。ヒト赤血球の寿命は約[120]日であり、古くなった赤血球は[ひ臓]や[肝臓]で分解され、その際にヘモグロビンが分解されることで生成される[ビリルビン]は固形排泄物の主な色素である。
ヒトの白血球は、赤血球と異なり核を持つ。主に生体防御に関わる細胞であり、[食細胞]と[リンパ球]に分類できる。食細胞には[マクロファージ]、[好中球]、[単球]があり、リンパ球には[T細胞]、[B細胞]、[NK細胞]がある。食細胞は、異物を取り込んで除去する働きがあり、この働きのことを[食作用]と呼ぶ。生体防御に関しては、詳しく後述する。
ヒトの血小板は、細胞としては[核]を持っていない特徴を持つ。主な機能は、後述の血液凝固作用であり、[フィブリン]というタンパク質が関与している。
ヒトの血しょうは、[単黄]色の液体で、さまざまな物質を溶かしている。血しょうだけで血液の重さの約[55]%もある。
加えて、血球の大きさと単位当たりの数はテストに出るので、追記しておきます。
大きさ | 数(1mm3当たり) | |
赤血球 | 直径7~8μm | 380万~570万個 |
白血球 | 直径6~15μm | 4000~9000個 |
血小板 | 直径2~4μm | 15万~40万個 |
※テストで出る数値のポイントは、次の2つである。
- 大きさ…白血球>赤血球>血小板
- 数…赤血球(数百万)>血小板(数十万)>白血球(数千)
3.血球がつくられる場所
血球がつくられる場所は、[骨髄]である。骨髄に含まれる[造血幹細胞]が分化することで、血球がつくられる。
4.ヘモグロビンによる酸素の運搬
ヒト体内の運搬は、赤血球に含まれる[ヘモグロビン]が酸素と結合・解離することで行われる。酸素と結合したヘモグロビンは特に[酸素ヘモグロビン]と呼ばれ、酸素ヘモグロビンは低酸素・高二酸化炭素条件で酸素を解離しやすい性質を持つ。
縦軸に全ヘモグロビンに対する酸素ヘモグロビンの割合、横軸に酸素濃度でグラフをつくったときに描かれる曲線を[酸素解離曲線]と呼ぶ。酸素解離曲線は肺胞においての曲線と組織においての曲線の2本があり、一般にS字を描くことが多い。読み方のポイントは、次のとおりである。
★酸素解離曲線の読み方
- 2つのグラフのうち、組織の方が肺胞よりも二酸化炭素濃度が高い。
- 酸素解離曲線は、肺胞のものの方が組織のものよりも上方にある。これは、場所としては肺胞の方がヘモグロビンと酸素が結合しやすいことを示している。
- グラフの右上、つまり酸素濃度が高い方が、ヘモグロビンと酸素は結合しやすい。
- 逆にグラフの左下、つまり酸素濃度が低い方が、酸素ヘモグロビンは酸素を解離してヘモグロビン単独になりやすい。
- 肺胞でヘモグロビンと酸素は結合し(肺胞のグラフと指定酸素濃度)、組織で酸素ヘモグロビンは酸素を解離する(組織のグラフの指定酸素濃度)。
なお、酸素ヘモグロビンはpHや温度の影響も受ける。簡単にまとめると、次のように考えることができる。
- pHが低い → H2CO3濃度が高い → 二酸化炭素濃度が高い → 酸素解離曲線は下に移動。
- 温度が高い → 分子運動が盛ん → 酸素ヘモグロビンが酸素を解離しやすい → 酸素解離曲線は下に移動。
また、胎児のヘモグロビンの酸素解離曲線においては、次の特徴を持つ。
胎児のヘモグロビンの酸素解離曲線は、母体のヘモグロビンのものよりも上方にグラフが存在する。この違いはヘモグロビンの性質の違いにより生じており、これにより胎児は母体から酸素を受け取ることができるようになっている。
5.二酸化炭素の運搬
組織で生じた二酸化炭素の多くは、赤血球のはたらきにより、炭酸水素イオン(HCO3-)として血しょう中に溶け込んで肺に運ばれる。炭酸水素イオンが肺までたどり着くと、逆の反応過程で気体の二酸化炭素となり、(外部)呼吸で体外に排出される。
6.血液の凝固
血液の凝固は裂傷時などに起き、それにより外部への体液の流出を防ぐことができる。
出血時の血液凝固の反応は、次の通りである。
- 裂傷部位に血小板が集まり、固まりをつくる。
- 血小板が放出する凝固因子や血しょう中に含まれる凝固因子により、[フィブリン(繊維素)]という繊維状のタンパク質が合成される。
- フィブリンによりできた網目に血球が絡みつき、塊上の[血ぺい]をつくる。血ぺいにより傷口はふさがれ、出血は止まる。
止血後、血管の修復は進み、血管が修復されると血ぺいは溶解される。この溶解の現象を[繊溶(繊維素溶解)]と呼ぶ。
血液の凝固は裂傷時に有効であるが、血管内での血液凝固は血液の流れを阻害してしまうので、血液は凝固と繊溶のバランスの元で保たれている。
繊維状のフィブリンは、[フィブリノーゲン]というタンパク質をもとに合成される。この際に作用するのは[トロンビン]である。トロンビンは、血しょう中のCa2+、加えて血しょう中のその他の血液凝固因子と血小板の凝固因子、さらに組織液からのトロンボプラスチンのはたらきにより、プロトロンビンから合成される。
なお、採血時など血液凝固反応を阻止しなければならない場合は、次のような手法が用いられる。
- [クエン酸ナトリウム]を加え、凝固因子であるCa2+をクエン酸カルシウムとして沈殿させ除去する。(採血時はこの手法を使う)
- 肝臓で生成される[ヘパリン]を加えることで、トロンビンの生成を阻害する。
- ヒルの唾液に含まれる[ヒルジン]を加えることで、トロンビンの作用を阻害する。
- 低温に保つことで、トロンビンの活性を低下させる。
- 棒で撹拌することで、フィブリンを除去する。
7.体液の循環
多くの動物は、体液を循環させるための心臓や血管をもつ。
血管は3種類に分類され、心臓から伸びる[動脈]、心臓に戻る[静脈]、組織や器官の[毛細血管]の3つがある。これらの血管の特徴は、次の通りである。
- 動脈 … 血管壁の筋肉の層が発達しており、その弾力のおかげで心臓から血液が押し出されるときの高い圧力に耐えることができる。
- 静脈 … 筋肉層は発達していない。逆流を防ぐための[弁]がある。
- 毛細血管 … 一層の[内皮]のみからなり、内皮の隙間を血しょうや白血球が通ることができる。
血管のつながりは、心臓を起点にした場合、基本的には次の通りになる。
心臓 → 動脈 → 器官・組織における毛細血管 → 静脈 → 心臓
ただし、心臓以外の臓器と臓器を結ぶ血管のことは門脈と呼び、例として小腸から肝臓へとつながる血管は特別に[肝門脈]と呼ばれる。
血管を流れる血液は2つに分類され、[動脈血]と[静脈血]に分かれる。[動脈血]は酸素を多く含んだ[鮮血]色の血液であり、[静脈血]は含まれる酸素の量が少ない[暗赤]色の血液である。初学者によくあることだが、『動脈血=動脈を流れる血液、静脈血=静脈を流れる血液』という認識は誤っているので注意しておきたい。含有酸素量の多さと血液の色で動脈血か静脈血かを判断する。
鳥類や哺乳類の血液循環は、静脈血を肺に送り出す[肺循環]と動脈血を全身に送り出す[体循環]からなっている。まとめると、次の通りである。
★肺循環
心臓 → 肺動脈(静脈血) → 肺 → 肺静脈(動脈血) → 心臓
★体循環
心臓 → 大動脈(動脈血) → 組織・器官 → 大静脈(静脈血) → 心臓
※心臓から出る血管は動脈、心臓に戻る血管は静脈である。
なお、組織や器官の毛細血管部位でしみ出した血しょうは組織液になる。組織液は、血しょう中の栄養素や酸素を組織の細胞に与え、老廃物を受け取る役割を持つ。組織液は毛細血管に戻り再び血液になるか、またはリンパ管に入りリンパ液となる。
リンパ管は基本的には一方通行である。主に小腸からリンパ管が伸びるが、からだの各部位からも細かいリンパ管が伸びる。リンパ管の途中には太くなっている[リンパ節]があり、ここでは免疫に関わる細胞が病原体の除去を行っている。リンパ管は[鎖骨下静脈]で静脈と合流する。リンパ管の構造の特徴としては[弁]があり、これは逆流を防ぐために機能している。少し専門的に言うと、リンパ管内のリンパ液にかかる圧力は弱いので、逆流を防ぐ必要があるとされている。
これら体液の循環を主に担っているのが、心臓である。ヒトの心臓は胸部よりやや右(向かいから見て)にある。鳥類と哺乳類の心臓は[二心房二心室]と呼ばれる構造になっており、心房と心室を分ける房室弁と心室から流れ出るところにある半月弁という2種類の弁を持つことで逆流を防いでいる。大静脈と右心房の境界には、心臓の拍動のペース維持する電気信号を放つ[ペースメーカー(洞房結節)]という特殊な細胞の集まりがある。
体液の濃度調節
1.体液成分の組成と濃度
(準備中)
2.単細胞生物にみられる細胞内の濃度調節
教科書ではゾウリムシを挙げる傾向にある。ゾウリムシは[収縮胞]と呼ばれる器官で水を排出することができる。
3.無脊椎動物にみられる体液の濃度調節
教科書では無脊椎動物の代表例として、カニを取り上げている。一言にカニといっても、生息域によって体液の濃度調節のしくみは異なる。
4.魚類にみられる体液の濃度調節
魚類の体液の濃度調節のしくみは、生息域が海水か淡水かで異なる。どちらの場合でも、体内の塩類濃度を一定に保つ機能を持ち、えらや腎臓が関与している。
詳細は、下の内部リンクを参考にしてください。
5.哺乳類にみられる体液の濃度調節
(腎臓について準備中)
肝臓のはたらき
1.肝臓の構造
(準備中)
2.肝臓のはたらき
(準備中)
第2節『体内環境の維持のしくみ』
(概要準備中)
第3節『生体防御』
(概要準備中)
改訂版生物基礎教科書に沿って詳しく解説した記事が下のものです。詳細を勉強したい方は、こちらの方を参考にしてください。
総括
この単元(生物基礎第3章『生物の体内環境』)はとにかく重要語句が多く、暗記量が膨大であるのが特徴です。単語を覚えることが必須である一方で、酸素解離曲線などのグラフや計算の頻出テーマもそこそこあるので苦戦します。この章を習得するのには、かなりの時間がかかるでしょう。
生物基礎を日常学習する方にとっても大変な章ではありますが、“高校生物”でセンター試験を受験して二次試験で“生物基礎・生物”を選択する方にとっては、かなり重要な学習項目になります。『生物の体内環境』は高校生物では取り扱いがないので、“生物基礎・生物”選択者はセンター試験が終わってから追い込みで学習する必要があるからです。その割には二次試験での登場頻度も高く、受験生を悩ませます。まずは教科書の通読、それから典型問題の演習というような形で、早急かつ着実な習得を目指しましょう。
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おわりに
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