問題解説

「高校生物基礎・生物」ABO式血液型の遺伝と凝集反応の問題の解き方

今回は、「生物」の第4章“生殖”に登場するABO式血液型の家系図の遺伝の問題と「生物基礎」の第3章“生物の体内環境”に登場するABO式血液型の凝集反応問題の問題の解き方を紹介します。演習問題を用意しているので、解いてみてテスト対策をしましょう。解説もわかりやすく努めているので、是非学んでください。

なお、生物基礎しか必要がない方は、問題②だけ解いてください

ABO式血液型の遺伝子頻度を追加しました。

演習問題

では、まず問題を解いてみましょう。下のスライド1が問題用紙になります。標準解答時間は問題①で8分、問題②で8分です。15分経っても解けなかった場合は、解答と解説を見ましょう。

スライド1:ABO式血液型の家系図の遺伝の問題&凝集反応の問題スライド1:ABO式血液型の家系図の遺伝の問題&凝集反応の問題

解き具合はいかがだったでしょうか。問題①の家系図の問題は、やや難易度があるので難しかったかもしれません。また、問題②の凝集反応では、考え方がわからなくて解けなかったかもしれません。是非、以下の解答と解説を読んで、勉強の役に立ててもらえればと思います。

解答

問題①

X:BO、Y:不明、Z:BO

問題②

(1)起こらない、(2)起こる、(3)起こらない、(4)起こる

解説

問題①:血液型の遺伝はパターンなので考え方を理解しよう

この問題は図の読み取りand遺伝の問題です。メンデルの遺伝の法則を使うことができますが、ABO式血液型が複対立遺伝子というジャンルであることを知っているかどうかで解ける可能性は変わります。

ということで、まずはABO式血液型が複対立遺伝子であることから解説します。ABO式血液型において各血液型の遺伝子型と遺伝子の優劣関係は、下のスライド2のようになります。

スライド2:複対立遺伝子であるABO式血液型の特徴スライド2:複対立遺伝子であるABO式血液型の特徴

遺伝子の優劣関係については暗記事項ですが、各血液型の遺伝子型については理解して導くというような感じになります。理解については、メンデル遺伝を習得しているならば当然かもしれませんが、“優性遺伝子Aと劣性遺伝子Oを持つ遺伝子型AOの表現型はA型になる”ということです。ここが理解できない場合は、メンデル遺伝の基礎から勉強しなおすことをおすすめします。

では、この複対立遺伝子としての特徴をおさえたうえで、解き方に移ります。家系図の問題に関しては、与えられた条件の中でわかることをすべて書き出すことから始めるのがセオリーになります。このセオリーに従うと、下のスライド3のようなところまで書き出したいところです。

スライド3:問題①の解き方その1スライド3:問題①の解き方その1

スライドの黄色の部分が、与えられた条件でわかるところです。A型やB型は2つ遺伝子型があるので片方が?になりますが、AB型とO型は遺伝子型は決めることができます。

次に注目するのは、第三世代のABとOOです。血液型の遺伝子型に慣れると簡単にわかるようになりますが、この親の遺伝子型は必ずAOとBOになります。そのことを下のスライド4で解説しています。

スライド4:問題①の解き方その2スライド4:問題①の解き方その2

Zの遺伝子型がBOだとわかったところで、もう一度全体像を見てみましょう。すると、下のスライド5のようになります。

スライド5:問題①の解き方その3スライド5:問題①の解き方その3

左半分に限定して、Xを答えてみましょう。解き方は下のスライド6のようになります。

スライド6:問題①の解き方その4スライド6:問題①の解き方その4

最後にスライド5の右半分に限定してYを見てみましょう。解き方は下のスライド7のようになります。

スライド7:問題①の解き方その5スライド7:問題①の解き方その5

このように、Yを特定することはできないので、「不明」が正答でした。理由はスライドにあるように仮定した場合、どれでもB型(BO)とO型(OO)の子が生まれるからです。

解説は以上になります。改めて見ると、けっこう難易度の高い問題でした。

家系図の問題は、与えられた条件でわかることを1つずつ紐解いていくことが一番の近道である。

※遺伝の問題が苦手な方には、下の一冊をおすすめします。この一冊で、遺伝の問題は網羅的に演習することができます。

問題②:凝集反応はヒントなしで解けることが望ましい

この問題は知識問題&考察問題です。“A型どうしだと輸血できるけど、A型とB型では輸血できなかったような…”というなんとなくの知識が必要で、なおかつ問題中の条件を紐解いて凝集反応の有無を答える問題でした。初見の方にとっては超難問だったかもしれません。

解き方ですが、まず、凝集原と凝集素の組み合わせによって凝集反応が起こるだろうと考えるところから始まります。このことはリード文にあるので、察することができる人もいると思います。これにより、下のスライド8のような考察に展開する必要があります。

スライド8:凝集反応の考察スライド8:凝集反応の考察

実際のところはこの考察の通りで、

  • 「凝集原Aと凝集素β」、「凝集原Bと凝集素α」では凝集反応は起こらない。
  • 「凝集原Aと凝集素α」、「凝集原Bと凝集素β」では凝集反応が起こる。

という現象が起こります。(ちなみにこれは、凝集原が抗原で凝集素が抗体の抗原抗体反応になります。)

この凝集反応のしくみがわかれば、あとは各血液型の相性を1つずつ紐解くことになります。その結果、下のスライド9のようになります。

スライド9:凝集反応の有無の表スライド9:凝集反応の有無の表

血液を提供するヒトについては、リード文に従って血しょうの凝集素を考えます。また、輸血を受けるヒトについては、リード文に従って赤血球細胞膜表面の凝集原を考えます。スライドにあるように、凝集原と凝集素を書き出すと、凝集反応の有無がわかりやすいと思います。なお、表中の赤文字のところが、(1)~(4)に対応しています。こうして、答えを導き出すことができました。

今回の問題ではヒントを提示して考察問題にしましたが、実際の入試問題ではスライド9の内容を習得している前提で問題が出題されることがあるので要注意です。それぞれの血液型の凝集原と凝集素を覚えておいた方がよいでしょう。

凝集反応が生物基礎の教科書に載っているか調べました。結果は、

  • 記載がある:東京書籍、第一学習社、実教出版、啓林館
  • 記載がない数研出版

というように、数研出版のみ記載がありませんでした。記載がある教科書では“発展”の内容として扱われていましたが、センター試験では発展など関係なく全範囲から出題されるので、やはり学習しておくことをおすすめします。

ついでに学んでほしいもの

家系図の遺伝の問題演習(ヒト血友病)

ヒト血友病伴性遺伝の家系図の問題も当サイトのページにあります。併せて演習するとよいかもしれません。

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Rh式血液型と血液型不適合

難関大学志望者は、Rh式血液型も学習しておくとよいと思います。ヒトのいくつかある血液型の1つです。Rh式血液型は、

  • Rh型:体内にRh因子がある。
  • Rh型:体内にRh因子がない。

の2種類あります。Rh因子には抗Rh因子と凝集する性質がありますが、どちらの血液型でも体内に抗Rh因子は通常ありません。しかし、ある条件で抗Rh因子を持つことで問題になることがあります。それは、“妊娠”です。具体的には、下のスライド10のようになります。

スライド10:Rh式血液型での血液型不適合スライド10:Rh式血液型での血液型不適合

スライド10のように、Rh+の男性とRh-の女性の結婚の場合に問題が起きます。第二子の血液型不適合を防ぐ方法として、“母体に存在する抗Rh因子を除去すること”や“胎児の交換輸血すること”という方法があります。

参考までに紹介させていただきました。おそらく手持ちの資料集に載っていると思うので、興味のある方は見てみるとよいでしょう。

追加問題

高校生物のABO式血液型と遺伝子頻度の問題を、下の記事に簡単に紹介しておきました。高校生物の進化のところまで学習した方は、是非参考にしてください。

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総括

まず問題①についてですが、家系図の遺伝の問題を苦手とする方は多いと思います。ABO式血液型に然り、伴性遺伝に然りです。解けなくて困っている方は、一度がっつりと時間をとって自分で考えてみたり学校や塾の先生に質問するのがよいと思います。出題する側も家系図の遺伝は点数の分け目として問題を出すくらいの重要テーマなので、演習して解き方を理解しておきましょう。

次に問題②についてですが、やはりこの問題も点数の分け目です。単純に、演習したことがあるかないかで得点できるかどうかが分かれます。なので、このテーマも解き方を理解して必要な要素を覚えておくことが望ましいと言えるでしょう。

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