第3章「代謝」 PR

「高校生物」キューネ発酵管の実験問題の解き方を包括的に解説

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今回の記事では、高校生物の第2章「代謝」で登場する“キューネ発酵管の実験問題”の問題解説を行います。問題の内容としてはやや古いですが、現在でもこのテーマが載っている問題集はありますので、解けるようになっておきましょう。

問題

では、まず問題を解いてみましょう。下のスライドが問題用紙になります。標準解答時間は15分です。15分経っても解けなかった場合は、解答と解説を見ましょう。

スライド1:キューネ発酵管の実験問題スライド1:キューネ発酵管の実験問題

問題を解くことはできたでしょうか。基本的な問題ではありますが、キューネ発酵管の実験問題を解いたことがなければ、解けなかった問題もあるかもしれません。今回を機に、改めて学びなおしましょう。

解答

解答は、以下の通りです。

スライド2:キューネ発酵管の実験問題の解答スライド2:キューネ発酵管の実験問題の解答

解説

問1.器具名“キューネ発酵管”を答える問題!

この問題は知識問題です。“キューネ発酵管”という器具の名称を答える問題でした。

器具名を知らなかった方は、覚えておきましょう。詳しい説明は特にありません。

スライド3:キューネ発酵管の図スライド3:キューネ発酵管の図

「キューネ発酵管ってマイナーなんじゃないか…」と管理人は思っていましたが、教科書には実験要素としてしっかり載っていました。最新の教科書を見たところ、実教出版だけ載っていませんでした。今でもメジャーなテーマのようですね。

問2.アルコール発酵で二酸化炭素が盲菅部にたまる!

この問題は知識問題です。実験によってキューネ発酵管の盲菅部にたまった気体の名称を答える問題でした。

キューネ発酵管内の発酵液には“グルコース”と“酵母”が溶けており、問9で解説するように無酸素条件なので、酵母のアルコール発酵が起きます。アルコール発酵によって生じる気体は二酸化炭素なので、それが答えになります。

問4の答えになりますが、アルコール発酵の化学反応式をここにも記載しておきます。

アルコール発酵の化学反応式

C6H12O6 → 2C2H5OH + 2CO2 (+ 2ATP)

問3.アルコール発酵ではエタノールも生じる!

この問題は知識問題です。キューネ発酵管の実験で、二酸化炭素とともに発生する物質の名称を答える問題でした。

二酸化炭素と一緒に発生する物質は、もちろんエタノール(C2H5OH)です。これは、化学反応式を覚えておけば、すぐに答えることができるでしょう。

なお、エタノールの化学式は、高校生物ならばC2H6Oでも可の傾向があります。

問3は、少し曖昧な問題でした。「解答を“ATP”にしてもよいのではないか?」と悩んだ方もいると思います。管理人の場合は“ATP”でも可にしますが、一般的に答える場合はエタノールの方がよと思います。アルコール発酵の化学反応式の記載が教科書によっては“エネルギー(2ATP)”となっているため、エネルギーを物質と捉えることはできないかもしれない、と管理人は思っています。もちろん、ATPは物質です。ただの難癖ですかね…。

問4.アルコール発酵の化学反応式を答えよう!

この問題は知識問題です。問2、問3の物質が生成される反応を化学反応式で答える問題でした。

繰り返しになりますが、アルコール発酵の化学反応式は以下の通りです。必ず暗記しておきましょう。

アルコール発酵の化学反応式

C6H12O6 → 2C2H5OH + 2CO2 (+ 2ATP)

アルコール発酵の化学反応式に“2ATP”を加えるべきかどうかですが、管理人の主観では加えなくとも正解になると思います。一般的にどうなのかは、意見の分かれるところだと思います。理由としては、教科書会社によって記載が少し異なることを挙げることができます。

5つある教科書会社は、次のように分かれています。

  • 2ATPも加える派:第一学習社、実教出版、啓林館
  • ()して2ATPを加える派:数研出版
  • 2ATPとともにADPとリン酸も加える派:東京書籍

気になる方は、学校や塾の先生に尋ねてみるとよいでしょう。

問5.高校生物ではあまり見ない問題(高校化学寄り)

この問題は論述問題です。実験後の発酵液にヨウ素液を加えたときの変化を答える問題でした。

解答としては、ヨードホルム反応で起きたことを答えることになります。ヨードホルム反応は高校生物の内容ではないですが、以下の通り紹介しておきます。

【ヨードホルム】

⇒特有の臭気をもつ黄色の結晶。エタノールにアルカリ水溶液とヨウ素とを加えて加熱してつくる。

【ヨードホルム反応】

⇒アセトンやエタノールにアルカリの存在下で要素を作用させると、ヨードホルムを生ずる。この種の反応をヨードホルム反応という。

三省堂新化学小辞典p.460より抜粋。

以上のような引用から、次のように答えることがよいでしょう。

【解答例】

発酵液が黄色くなり、特有の臭いが出る。

管理人は、高校生物でヨードホルム反応を解答とする問題を見たことがありません。しかし、教科書の実験に“実験後の発酵液にヨウ素を加える”ことが載っていたので、テーマの1つとして紹介させていただきました。ひょっとしたら管理人が見たことがないだけで、問題として登場するものなのかもしれないので、注意が必要です。

問6.水酸化ナトリウム溶液は二酸化炭素を吸収する!

この問題は知識問題です。盲菅部にたまった気体を溶かす薬品の名称を答える問題でした。

盲菅部に溜まっていた気体は問2で二酸化炭素と答えていたので、二酸化炭素を溶かす薬品を答えることになります。キューネ発酵管の実験では、一般的に水酸化ナトリウム、または水酸化カリウムを用いるので、そのどちらかを答えればよい問題でした。

水酸化ナトリウム(またはカリウム)と二酸化炭素の反応は、化学基礎で登場する“中和反応”になります。反応の詳細を知りたい場合は、化学の先生を尋ねてみるとよいでしょう。

問7.気圧が下がるので親指が吸引される!

この問題は記述問題です。問6の薬品(水酸化ナトリウム溶液)を加えたときに親指で栓をしたときの感覚を論述する問題でした。

解答例としては、次のようになります。

【解答例】

管内方向に吸いつけられる。

理由としては、「二酸化炭素が溶液中に溶けることによる、キューネ発酵管球体部の減圧」になります。実際に実験を行ったことがある方にとって有利な問題でした。

この問は入試問題ではあまり見かけない問題ですが、教科書にあるキューネ発酵管実験のページには同じような問が見られるので、答えることができるようになっておいた方がよいと思います。

問8.酸素があると発酵が抑制=パスツール効果!

この問題は知識問題です。生物の細胞や組織における発酵が酸素の条件下で抑制される現象の名称を答える問題でした。

難しい内容ではありますが、今回問題を見たことを機に、用語名を覚えておきましょう。難関大学を目指す方は、論述もできるようになっておいた方がよいです。

パスツール効果

パスツールが初めて観察・記載した現象で、グルコースの発酵(解糖)速度が好気条件下(酸素供給)では強く抑制される現象をいう。…。

三省堂新生物小辞典p.445より抜粋。

パスツール効果は、教科書によっては掲載されていないものもあります。管理人が調べてみたところ、次のようになっていました。

  • 掲載あり:数研出版、第一学習社、東京書籍
  • 掲載なし:実教出版、啓林館

掲載のない教科書を使っている方は、これを機に覚えるとよいです。よくわからない場合は、学校や塾の先生に尋ねましょう。

問9.問8のパスツール効果の問題文を利用しよう!

この問題は考察&記述問題です。実験に使うグルコース水溶液をあらかじめ煮沸して溶けている気体を追い出す理由を答える問題でした。

まずは解答例をみてもらいましょう。

【解答例】

酸素が発酵液に含まれていると酵母は呼吸を行ってしまい、呼吸の反応結果も計測されてしまうので、それを防ぐために気体を追い出す。

この問題を解く上でのポイントは、問題文に含まれています。スライド1の問題の一番最初の部分には、次のように書かれていました。

酵母を用いて、発酵の反応速度と温度との関係を調べるために、次のような実験を行った。

つまり、発酵以外の反応は、この実験では起きてほしくないのです。よって、呼吸の反応が起きないようにすることが必要になります。呼吸が起きないためには、問8の問題文に書かれていたパスツール効果で示されるように、酸素がない条件が必要になります。そのために、煮沸して気体を追い出すというような問題でした。

センター試験に代表されるように、考察問題を解く上では、「知識の要素」と「問題文を読み解く要素」の両方が必要になります。解く上では難しくて敬遠したくなると思いますが、このような考察問題を日頃から解いておいた方がよいでしょう。

問10.温度が高い方が酵素の分子運動が盛んである!

この問題は記述問題です。20℃よりも40℃の方が気体の発生量が多くなる理由を、酵素の観点で答える問題でした。

まずは解答例を見てみましょう。

【解答例】

温度が高い方が酵素の分子運動が盛んになるため、発酵の反応が促進されて、気体の発生が盛んになる。

問10の問題文では、ヒントとして、「酵素の観点から述べなさい。」と書いておきました。なので、答え方としては、温度と分子運動の関連を答えることが妥当です。温度が高くるほど分子の運動は盛んになり、分子どうしの衝突が多くなります。つまり、温度が高いほど酵素と基質は衝突しやすくなり、反応の程度は大きくなります。ゆえに、上記の解答例のように答えることがよいでしょう。

温度が高すぎると気体の発生量が減少、または全く発生しなくなります。酵素はタンパク質なので、最適温度を超える温度では活性が低くなり、変性してしまう高い温度では失活してしまいます。一応、確認でした。

総括

お気づきかもしれませんが、キューネ発酵管の実験問題のテーマの問題は、初見ではまず解くことができない問題があることが特徴です。今回紹介した問題では、問1、問5~問9に関しては、解いたことがなければ答えることが難しかったでしょう。しかし、この問題もパターン問題であり、スライド1の小問でパターンをおおよそ紹介しているため、今回解くことができなかった方でも、次は解くことができると思います。高校生物でよくある“経験で点が取れる”ような問題なのでした。

最新の教科書でも取り扱いのあるキューネ発酵管ですが、その理由は実験が比較的安易であるためだと思います。その一方で、現課程の教科書の呼吸と発酵では、NAD+の酸化還元反応を取り扱っており、そっちの方が理解が難しいものとなっています。反応の詳細をよく理解し、説明できるようになっておくことを、強くおすすめします。

おわりに

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以上でこの記事は終わりです。ご視聴ありがとうございました。

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