高校生物

「高校生物」呼吸と発酵の計算問題の解き方を解説(基本編)

今回の記事では、高校生物の第2章「代謝」で登場する“呼吸と発酵の計算問題(基本編)”の問題解説を行います。呼吸と発酵の計算問題は高校化学基礎の物質量計算を用いたものであり、化学基礎が得意でなかった方は苦手かもしれません。ですが、高校生物では頻出のテーマなので、ここで解いてみましょう。

問題

では、まず問題を解いてみましょう。下のスライドが問題用紙になります。標準解答時間は15分です。15分経っても解けなかった場合は、解答と解説を見ましょう。

スライド1:呼吸と発酵の計算問題(基本編)スライド1:呼吸と発酵の計算問題(基本編)

問1を反応式を答える問題にしていた理由は、計算に必須だからです。問2~問4は基本中の基本で、問5~問8は問題集で必ず見られるテーマを採用しました。問8まですべてできるようになってほしいので、わからなかった方は以下の解答・解説を確認しましょう!

解答

解答は、下のスライド2のようになります。

スライド2:呼吸と発酵の計算問題(基本編)の解答スライド2:呼吸と発酵の計算問題(基本編)の解答

解説

問1.呼吸と発酵の反応式は暗記必須です!

この問題は知識問題です。呼吸と反応式の反応式を化学式で答える問題でした。

呼吸と発酵の化学反応式は必ず暗記しておきましょう。式そのものを答えるものもあれば、今回のように計算に使う場合もあります。

反応式一覧
  1. 呼吸:C6H12O6 + 6O2 + 6H2O → 6CO2 + 12H2O + 38ATP(最大)
  2. アルコール発酵:C6H12O6 → 2C2H5OH + 2CO2 + 2ATP
  3. 乳酸発酵:C6H12O6 → 2C3H6O3 + 2ATP

高校生物でのエタノールの化学式は、C2H6Oと表記しても問題ない場合もあります。しかし一般的には、ヒドロキシ基に注目してC2H5OHと表記します。

問2.アルコール発酵 & 物質量計算の基本問題!

この問題は、計算問題です。アルコール発酵の反応式を使った物質量の計算問題でした。

グルコースの物質量を求めるためには、下のスライド3の過程を経ることになります。

スライド3:問2のアルコール発酵の物質量計算スライド3:問2のアルコール発酵の物質量計算

スライド3では、“物質量の比”と“反応式の係数の比”は一致することを利用しています。いきなり1/2することがわからない方は、次のような比を使ってみるとよいでしょう。

グルコースの物質量:エタノールの物質量

=1(係数):2(係数)=x mol:4.0mol

上の比を計算すれば、エタノールの物質量はやはり2.0molになります。

注意しないといけないのは、リード文で計算結果は有効数字2桁で答えるように指定されていることです。今回は2桁ですが、問題によって桁数が異なったり、あるいは小数点四捨五入を指定されたりするので、リード文を必ず読むようにしましょう。

問3.乳酸発酵 & 物質量計算の基本問題!

この問題は、計算問題です。乳酸発酵の反応式を使った物質量の計算問題でした。

乳酸の物質量を求めるためには、下のスライド4の過程を経ることになります。

スライド4:問3の乳酸発酵の物質量計算スライド4:問3の乳酸発酵の物質量計算

やはりスライド4でも、“物質量の比”と“反応式の係数の比”は一致することを利用しています。“2をかける”ことがわからない方は、次のような比を使ってみるとよいでしょう。

グルコースの物質量:乳酸の物質量

=1(係数):2(係数)=(90/180) mol:y mol

上の比を計算すれば、乳酸の物質量はやはり1.0molになります。

問4.呼吸 & 物質量計算の基本問題!

この問題は、計算問題です。呼吸の反応式を使った物質量の計算問題でした。

グルコースの質量を求めるためには、下のスライド5の過程を経ることになります。

スライド5:問4の呼吸の計算式スライド5:問4の呼吸の計算式

今回の二酸化炭素のように気体の体積から物質量を求める場合は、1mol当たりの気体の体積22.4Lで割ることになります。あとは問2、問3と同じように係数比を使い、最後に質量に変換するためにグルコースのモル質量を掛けています。

問4の計算は少し難しかったかもしれませんが、テストや入試問題ではこれくらいがスタンダードです。もし解けなかった場合は、やはり化学基礎の物質量計算の復習をするとよいでしょう。

ちなみに“見かけの光合成速度の計算問題”でも物質量計算は登場します。なので、物質量計算の基礎を固めなおすことは、決して遠回りではありません。

問5.酵母は呼吸とアルコール発酵の両方ができます!

この問題は計算問題です。酵母が呼吸と発酵で生成したATPの割合を整数比で答える問題でした。

最初に確認しておきますが、酵母は呼吸と発酵の両方ができる生物です。酵母は真核生物の菌類なのでミトコンドリアを持っているため呼吸を行うことができ、また細胞質基質でアルコール発酵を行います。ちなみに、ヒトは呼吸と乳酸発酵を行うことができます。

それを踏まえて、表の読み取りを行いましょう。表を読み取るポイントは、下のスライド6のようになります。

スライド5:問5の呼吸と発酵の表の読み方スライド5:問5の呼吸と発酵の表の読み方

文章で書くと、次のようにまとまります。

  1. 条件Aは無酸素の条件。よってアルコール発酵のみを行い、酸素吸収量は0mL、二酸化炭素放出量は30mLである。
  2. 条件Bは酸素がある条件。よって呼吸とアルコール発酵の両方を行っている。酸素吸収量10mLは呼吸だけで消費された量であり、二酸化炭素放出量40mLのうち10mLは呼吸(ここなぜポイント)、30mLはアルコール発酵での放出量である。

上の①はわかると思いますが、問題は②のここなぜポイントがわかるかどうかです。ここの正しい考え方は反応式が原点になり、計算式は下のスライド6のようになります。

スライド6:問5条件B呼吸の二酸化炭素放出量10mLの計算方法スライド6:問5条件B呼吸の二酸化炭素放出量10mLの計算方法

ここまでで、呼吸とアルコール発酵での二酸化炭素放出量が定まったので、生成するATPの生成比を求めることとします。求め方の例は、下のスライド7のようになります。

スライド7:ATPの生成比を求めるための物質量計算スライド7:ATPの生成比を求めるための物質量計算

黄色の枠が、呼吸とアルコール発酵のそれぞれでのATPの物質量になります。よって、ATPの生成比は、

呼吸のATP:アルコール発酵のATP={(10/22.4)×(38/6)}:{(30/22.4)×(2/2)}

という計算式で求めることができます。結果は、答えの通り“呼吸のATP:発酵のATP=19:9”となります。

問5を振り返ってみると、条件Aの表を読み解く必要はありませんでした。新しい大学入学共通テストでは“情報を取捨選択する能力”が問われるので、ここで良い練習になったら幸いです。

問6.エネルギー効率は“割合計算”です!

この問題は計算問題です。エネルギー効率を計算する問題でした。

今回のエネルギー効率の意味は、“グルコースを呼吸で分解したときのエネルギー(2867kJ)のうち、どれくらいのエネルギーがATPに保存されるか”というものになります。よって計算式は、下のスライド8のようになります。

スライド8:呼吸のエネルギー効率の計算方法スライド8:呼吸のエネルギー効率の計算方法

割合計算になりますが、答えがパーセントなので、100を掛けてあげることを忘れないようにしましょう。

ちなみに、グルコース1mol、ATP38molで考えているのは、呼吸の反応式を応用しています。改めて呼吸の反応式を見てみると、

C6H12O6 + 6O2 + 6H2O → 6CO2 + 12H2O + 38ATP(最大)

となっています。つまり呼吸では、グルコース1molから最大で38molのATPが生成されます。今回の問題ではリード文に“生成するATPは最大値”とすることが書かれてあったため、そのまま38molとして使うことになります。

問7.呼吸商の計算 + 呼吸基質を答える基本問題!

この問題は計算問題です。呼吸の計算問題の1つである“呼吸商”の問題でした。

呼吸商の説明は、次のようなものになります。

呼吸によって放出する二酸化炭素の量と、外界から吸収する酸素の量の比であり、CO2/O2で表されるもの。略記では、RQと書かれる。

つまり、呼吸において、二酸化炭素の量を酸素の量で割ればよいということですね。なお、呼吸商はパーセントではないので、小数点以下で答えることになります。

では、改めて今回の計算式を見てみましょう。

2C57H110O6 + 163O2 → 114CO2 + 110H2O

呼吸商では“量”を計算に使うことになっていましたが、反応式においては係数をそのまま使って計算してよいことになります。理由は、反応式そのものが物質量の比になっているためです。

ということで、呼吸商の計算式は非常に簡単で、次のようになります。

114 ÷ 163 ≒ 0.70(解答)

次に、呼吸基質です。呼吸基質の説明は、次のようになります。

呼吸の材料として使用される物質のこと。炭水化物、脂肪、タンパク質が呼吸基質となる。それぞれの呼吸商は、次の通り。

  • 炭水化物の呼吸商 = 約1.0
  • 脂肪の呼吸商 = 約0.7
  • タンパク質の呼吸商 = 約0.8

今回の問題での呼吸商は、計算結果で0.70だったため、呼吸基質は脂肪と答えるのが正答となります。

呼吸商の計算方法は覚えておきましょう。普通は問題文中に計算方法は載っていません。また、呼吸基質の呼吸商も必ず覚えておきましょう。

問8.データを読み取って呼吸商の計算をしよう!

この問題は計算問題です。問題自体は実験ですが、データを読み取って呼吸商の計算をする問題でした。

答える内容は呼吸商なので、呼吸における二酸化炭素の量と酸素の量を読み取る必要があります。問題文の設定では、

  • フラスコXは容器にKOH水溶液が入っており、147mLの気体が吸収された。
  • フラスコYは容器に水が入っており、3mLの気体が吸収された。

と書いてありました。この情報を読み取ることが大切です。

データの読み取り方は、下のスライド9のようになります。

スライド9:呼吸商の実験のデータの読み方スライド9:呼吸商の実験のデータの読み方

このように、2つのフラスコから読み取ることのできるデータは異なります。問題の解き方としては、副室に水が入っている方から考えるとよいでしょう。副室が水の方では酸素吸収量と二酸化炭素放出量の差が気体の増減量となりますが、副室がKOH水溶液の方ではKOH水溶液が二酸化炭素を吸収するため酸素吸収量が気体の増減量となります。

スライド9から酸素と二酸化炭素の量を判断し、呼吸商を計算すると、

計算式は2つ。

  • |O2-CO2|=3
  • 吸収されたO2量=147

このことから、

  • 放出されたCO2量=144

呼吸商の計算は、

  • 呼吸商=O2÷CO2=144÷147=0.98…≒1.0(解答)

となります。ゆえに、呼吸基質は炭水化物と答えることになります。

呼吸商の実験問題のデータ読み取りは必ずできるようになりましょう。ここで紹介した問題が、典型的なパターンになります。

総括

“呼吸と発酵”の計算問題は、あくまで基本編になります。入試ではもう少し難しい問題が出ますが、今回のような基本ができていないと取りかかることができないと思います。ちなみに、物質量計算を主に使うので、化学基礎を習得している前提で問題が進むことが、問題が簡単でも難しく見える理由にもなっています。たまに化学基礎を全く理解せず高校生物を必要とする受験生もいるので、そのような方にとっては鬼門であるとも言えるでしょう。分野横断的な問題は、どの受験生も苦労するものです。

物質量計算が全くわからなかった方は、一度化学基礎に戻り、もう一度物質量計算を勉強しなおすことをお勧めします。そんな場合は、化学の先生に物質量計算の問題プリントをもらうとよいでしょう。生物の先生を頼ってもいいですが、高校生物で物質量計算を使う場面は限られているので、やはり専門の化学の先生の方が良いアドバイスをくれると思います。

補足

今回は計算問題に特化していましたが、呼吸と発酵のテーマでは実験問題も頻出です。よく見かけるものとして、

  1. キューネ発酵管を使った酵母の発酵の実験(※問題の質としてはやや古いかも…)
  2. ツンベルク管を使った呼吸の酸化還元反応の実験
  3. 発芽種子の呼吸基質を定める実験(この記事の問8)

があります。これらも必ず解けるようになってほしいので、そのうち当サイトでも準備したいと思います。

(実験問題解説ができたら、ここにリンクを貼ります)

また、計算問題を難しくするために必要な数値をグラフから読ませるようにした応用問題もあります。管理人の主観ではセンター試験の難易度くらいなので、受験を控えた方は応用問題も解いてほしいです。これもまた、いつか当サイトで紹介しようと思います。

(計算問題応用編ができたら、ここにリンクを貼ります)

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