今回は、「生物基礎」の第4章“植物の多様性と分布”に登場する見かけの光合成速度のグラフと計算の問題の解き方を紹介します。演習問題をもとにポイントを解説をしているので、初めての人もわからない人も是非練習してみましょう。
なお、「高校生物」版を見たい方は、下の記事を参考にしてください。生物基礎版の要素に新たに物質量計算が加わっています。
演習問題
まずは演習問題として、下のスライド1にある問題を解いてみましょう。標準解答時間は15分です。解けない場合は、すぐに解説を見て解き方を確認しましょう。
問題中に漢字の誤りがありました。「陰性植物」を「陰生植物」に正しました。
解きぐらいはどうだったでしょうか。基本の確認から応用まで、生物基礎の範囲内で出題させていただきました。以下の解答・解説を確認し、復習してみましょう。
解答
解答は下のスライド2のようになります。
解説
問1.グラフから、~速度を読み取る!
この問題はグラフの読み取り問題です。光合成速度、呼吸速度、見かけの光合成速度をグラフ中のA・Bを使って式にする問題でした。
これらの値の読み取り方は、下のスライド3のようになります。
このことを問題に当てはめると、
- 光合成速度=A
- 呼吸速度=B
- 見かけの光合成速度=AーB
となります。
- ~速度の読み取りは必ずできるようになりましょう、入試問題で頻出です。
- 見かけの光合成速度の値は、光の強さが光補償点未満の場合は負の値になることに注意が必要です。
問2.生物用語“光補償点”が問われた問題!
この問題は知識問題です。生物基礎の教科書に載っている用語である“光補償点”を答える問題でした。
光補償点と光飽和点の読み取り方は、下のスライド4のようになります。
スライド4を見ると、
- 呼吸速度と光合成速度が等しくなっている、つまりCO2吸収速度が0のときの光の強さを光補償点と呼ぶ。
- 光合成速度が一定になるときの光の強さを、光飽和点と呼ぶ。
ことがわかります。
問3.生物用語“光飽和点”が問われた問題!
この問題は知識問題です。問2と同じように、生物基礎の用語である“光飽和点”が問われた問題でした。
読み取り方は、問2のスライドと解説を参考にしてください。
問4.グラフと陽生植物・陰生植物の関係をおさえよう!
この問題は知識問題です。グラフにおける陰生植物の特徴を知っているかどうかが問われた問題でした。
見かけの光合成速度のグラフにおいて、陽生植物と陰生植物の特徴は、次のようにまとめることができます。
- 陽生植物…光合成速度、呼吸速度ともに大きい。
- 陰生植物…光合成速度、呼吸速度ともに小さい。
よって、光合成速度、呼吸速度ともに小さい植物Yが陰生植物だと判断することができます。
グラフの特徴は、陽葉と陰葉でもあります。陽葉は陽生植物のグラフの特徴があり、陰葉は陰生植物のグラフの特徴があります。陽葉と陰葉をグラフで読み取る問題もあるので、覚えておくとよいでしょう。ちなみに、陽樹と陰樹も同じように特徴に違いがあります。
問5.陰生植物の方が育つ光の強さの範囲は定番問題!
この問題はグラフの読み取り問題です。陽生植物よりも陰生植物の方が育つ光の強さの範囲を答える定番の問題でした。
陽生植物よりも陰生植物の方が育つ光の強さの範囲とは、次の条件の範囲のことを指します。
- 条件1:陰生植物の光補償点より光が強い。
- 条件2:見かけの光合成速度が、“陰生植物>陽生植物”となる光の強さ。
これを満たすのは、グラフの中の選択肢の②のみです。
問6.“遷移過程の草原=光がよく当たるところ”と判断!
この問題は知識問題です。草原での光の強さを考える問題でした。
遷移の初期の過程である草原では、まだ樹木が生育していないので、草原の植物は光が強く当たる環境にあります。このような光が強い環境では、陽生植物の特徴の植物が育つ傾向にあります。
問7.グラフから光合成速度の数値を読み取る問題!
この問題はグラフの読み取り問題です。指定された光の強さのときの光合成速度の値を読み取る問題でした。
光の強さが60キロルクスのとき、植物Xの光合成速度は飽和状態になっています。このときの光合成速度、すなわちグラフ中のAの値を読み取ると、35mg/100cm2・1時間となります。また、問題の設定で二酸化炭素吸収量として答えるように指定されているので、計算式は、
- 25-(-10)=35mg
というように組み立てることができます。吸収量なのでプラスの数値で答えることに注意が必要でした。
仮に、問題文の設定で“二酸化炭素放出量”として答える場合は、マイナスの数値で答えることになります。このときの計算式は、
- (-10)-25=-35
という具合になります。
少し考えてみると、光合成速度が呼吸速度を上回っているときには、見た目上二酸化炭素を吸収しているはずなので、放出量はマイナスになるはずですね。
問8.CO2の吸収量を計算する問題!
この問題は計算問題です。単位面積、明るい時間、暗い時間を考慮しながら計算して、24時間の二酸化炭素吸収量を答える問題でした。
この問題の解き方は2通りあります。解き方は、下のスライド5のようになります。
このように、
- 光合成速度と呼吸速度を使って計算する
- 見かけの光合成速度と呼吸速度を使って計算する
のどちらの場合でも、答えは同じになります。ただし、速度の値が異なることと、用いている時間数が異なることに注意が必要です。管理人的には①の方が好きな解き方で、理由は呼吸速度にトータル時間をかけ算できるというシンプルさが魅力的だからです。
※ここの計算式の違いは、理解が難しいと思います。今現在うまく説明できないので、良いアイディアが浮かんだときに説明を改善したいと思います。
総括
見かけの光合成速度のテーマは、基本的な語句だけでなく、グラフの読み取りや計算まで幅広い問題展開が特徴です。今回の記事で、頻出のパターンは紹介したので、わからなかったところは復習しておくとよいでしょう。
また繰り返しますが、高校生物を勉強する方は“代謝”の“光合成”というテーマにおいて、見かけの光合成速度の問題が再登場します。そのときは化学基礎の物質量計算の知識が必要になるので、化学基礎もしっかりと学んでおきたいところです。下の「高校生物版」の記事も見てみるとよいでしょう。
「高校生物」版、見かけの光合成速度のグラフの問題
高校生物を習っている方は必修項目です。下の記事で学習してみてください。
おわりに
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