体細胞分裂は、生物基礎で第2章「遺伝子とそのはたらき」で登場するテーマです。問題のパターンとしては、観察実験の手法やグラフ・計算とバリエーションがあるので、それらを包括的にまとめた問題を紹介し、解説したいと思います。
下の演習問題を解いて、実力を試しましょう!わからないところは、その下にある解説を読むとよいでしょう!
問題
では、まず問題を解いてみましょう。下のスライドが問題用紙になります。標準解答時間は15分です。15分経っても解けなかった場合は、解答と解説を見ましょう。
うまく解くことはできたでしょうか。実験・グラフ・計算とバリエーションがあって、解くのに苦戦したかもしれません。以下の解答と解説を確認し、復習してみましょう。
解答
解答は、下のスライド2・3のようになります。
解説
問1.観察実験の操作名を覚えておこう!
この問題は知識問題です。体細胞分裂における観察実験の操作名を答える問題でした。
操作①は“固定”、操作②は“解離”、操作③は“染色”と呼ばれています。体細胞分裂の状態を観察するときの手順は、下のスライド4のようになっています。
体細胞分裂の観察実験の順番を覚えておこう。固定→解離→染色→押しつぶし→顕微鏡観察です。
問2.それぞれの操作で使う薬品名を覚えておこう!
この問題は知識問題です。固定、解離、染色で用いる薬品名を選択する問題でした。
それぞれの操作で用いる薬品は、以下のようになっています。
- 固定…45%酢酸、ホルマリン、カルノア液(無水エタノールと氷酢酸の3:1混合液)
- 解離…60℃くらいに温めた塩酸
- 染色…酢酸オルセインと酢酸カーミンは核(染色体)を赤色に染色
薬品名は選択肢で答える問題が多いので、完璧に覚えるというよりは、見て選べるようになっておこう!
問3.操作の目的を論述できるようになっておこう!
この問題は論述問題です。体細胞分裂の観察実験の操作の目的を簡潔に論述する問題でした。
操作の目的のスライドをもう一度ここでアップロードしておきます。
これらの操作の意味を、改めて考えてみましょう。
- 固定:観察中に細胞が死滅して細胞内部の構造が壊れるのを防ぐ。
- 染色:観察対象がDNAなので、染色体を染色して見やすくしておく。
- 解離&押しつぶし:光学顕微鏡での観察を行いやすくする。
“解離&押しつぶし”を行うことで顕微鏡観察を行いやすくなる理由がはっきりとわからないかもしれないので、追加で補足すると、下のスライド6のようになります。簡潔に述べると、「細胞が複数の層だと細胞が重なり合って1つ1つの細胞が見にくいが、解離して細胞の層をおよそ一層にしておくと1つ1つの細胞が見やすくなる。」という感じになります。
定期テストや入試問題でも論述が求められることがあるので、操作の説明をできるようになっておこう!
問4.像を見て~期なのか答えれるようになろう!
この問題は知識問題です。体細胞分裂の細胞の像を見て、何期なのかを答える問題でした。
まず、体細胞分裂について簡単にまとめます。下のスライド7を見てください。なお、スライドに収まっていない用語や解説もあるのでご注意ください。
このまとめを理解して覚えていると、問題中の図1のア~オは次のスライド8のように解釈することができます。
根拠としては、次のように挙げることができます。
- アは終期:細胞板が見え、両極で核膜の出現が見られるため。
- イは前期:染色体の凝縮が見られるため。
- ウは中期:赤道面に染色体が並んでいるため。
- エは後期:両極に染色体が移動しているように見えるため。
- オは間期:核に目立った変化がないため。
このような形で、問4を解くことになります。
体細胞分裂の各期の細胞像を見て、どの時期なのか答えることができるようになっておこう!
問5.体細胞分裂のグラフは作図できるようになろう!
この問題はグラフの作図問題です。体細胞分裂における細胞あたりのDNA量の変化をグラフとして作図する問題でした。
この問題の肝心な部分は、“細胞あたりのDNA量の変化”と書いてあるところです。“細胞あたり”なので、母細胞が2つの娘細胞に分裂完了した時点でDNA量は半減します。よって、グラフを作図すると、スライド9のようになります。
なお、問題文が“染色体あたりのDNA量の変化”と書いてあった場合は、異なるグラフを描かなければならないです。詳しくは説明しませんが、間期のS期で2倍に増幅した染色体は、後期に入って両極に染色体が分かれるときに、DNA量は半減します。このときのグラフは、下のスライド10のようになります。
DNA量の変化のグラフを描くときは、変化が“細胞あたり”なのか“染色体あたり”なのか、問題文を読んで確認しよう!
問6.体細胞分裂の計算問題を解けるようになろう!
この問題は計算問題です。分裂期の時間を割合の概念を使って計算して求める問題でした。
この問題の解き方の基本は、割合です。細胞周期における分裂期の長さは、“視野中の全細胞数に対する分裂期の細胞の割合”として求めることができます。これを計算式にすると、下のスライド11のようになります。
式は暗記するのではなく、理解して組み立てることができるようになろう!
総括
解説で説明したように、体細胞分裂というテーマは、“実験問題・グラフの描写問題・計算問題”とバリエーションが豊かです。どれも一度は経験しておくことを強くオススメします。ただ、問題の難易度はそんなに高くないので、理解できたなと感じたらそれ以上勉強しなくてもよいかもしれません。
ちなみに、体細胞分裂を習うのと同じタイミングで、“細胞周期”も学ぶと思います。細胞周期というテーマもグラフや計算といった問題があるので、演習しておくと間違いないです。細胞周期の計算問題の解説記事もあるので、一度ご覧になってみてください。
おわりに
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