第5章「生態系とその保全」

「高校生物基礎・生物」物質の生産と消費(物質収支)の計算問題の解き方

今回は、「生物基礎」の第5章“生態系とその保全”に発展内容、「高校生物」の第6章“生物群集と生態系”で通常内容として登場する物質の生産と消費(栄養段階の物質収支)の計算問題を紹介します。演習問題をもとにポイントをわかりやすく解説をしているので、初めての人もわからない人も是非練習してみましょう。

演習問題

まずは演習問題として、下のスライド1にある問題を解いてみましょう。標準解答時間は20分です。解けない場合は、すぐに解説を見て解き方を確認しましょう。

スライド1:物質の生産と消費(栄養段階と物質収支)の計算問題スライド1:物質の生産と消費(栄養段階と物質収支)の計算問題

解いてみてどうでしたか?初めて見る問題もあったと思いますが、典型的なパターンは上記の通りになります。解けた人も解けなかった人も、解答と解説を見て確認してみましょう。

解答

問1.①:純生産量、②:総生産量

問2.G:4、C:2、R:1、F:3

問3.摂食量:G1+C1+D1+R1+F1、同化量:G1+C1+D1+R1

問4.生産者の光合成に用いられた光エネルギー

問5.(a):115、(b):15、(c):74、(d):61、(e):40、(f):40、(g):17、(h):5

問6.54.1%

解説

問1.総生産量と純生産量の違いをおぼえておこう!

この問題は、知識問題と図の読み取り問題です。生産者における総生産量と純生産量を答えさせるだけの問題になります。このときに生産者のR0が何なのかも一緒に考えることになります。

次のスライド2で、総生産量と純生産量の意味を確認しておきましょう。

スライド2:総生産量と純生産量の違いを確認しよう!スライド2:総生産量と純生産量の違いを確認しよう!

スライド2の式を考慮すると、生産者において②が総生産量、①が純生産量、R0が呼吸量と判断することが正しいでしょう。

総生産量と純生産量を図で読み取れるようになりましょう!

問2.〇〇量は覚えておくだけで点数が取れる!

この問題は、知識問題と図の読み取り問題です。それぞれのアルファベットが選択肢のどれに当てはまるかを答えることになります。

選択肢となっている単語の確認から始めましょう。まずは、生産者だけにスポットを当ててみます。

スライド3:生産者の〇〇量を確認しようスライド3:生産者の〇〇量を確認しよう

次、消費者にスポットを当ててみます。

スライド4:消費者の〇〇量を確認しようスライド4:消費者の〇〇量を確認しよう

同化量と摂食量も大事なので、確認しておきましょう。

  • 同化量:生産者の場合における総生産量のことを指す。式は、スライド4のようになる。
  • 摂食量:1つ前の栄養段階の被食量と同じである。

では、生産者と一次消費者の関係を、次のスライド5で確認しましょう。

スライド5:生産者と一次消費者の関係を把握しよう。スライド5:生産者と一次消費者の関係を把握しよう。

それぞれの〇〇量は、図でどのように判別することができるのでしょうか。そのことを箇条書きしてみました。

  • S:生産者の総生産量から外れているので現存量だとわかる。
  • D:設問から死滅量・枯死量だとわかる。
  • R:生産者の“総生産量-純生産量”から呼吸量だとわかる。
  • F:消費者だけに存在するため、不消化排出量だとわかる。
  • C:生産者から一次消費者に受け継がれたものなので、生産者の被食量・消費者の摂食量だとわかる。
  • 同化量:摂食量から不消化排出量を引いたものが同化量だとわかる。
  • G:生産者で残りわかっていないものなので、成長量だとわかる。

一つ一つ選択肢を慎重に選んでいけば、必ず適切な選択肢を選ぶことができます。上の箇条書きの手順を踏むことができるようになりましょう。

〇〇量は、すべて覚えよう。そのときに意味も合わせて覚えたり、図の読み取りができるようになろう。

問3.式で表すだけで、問2ができれば全然難しさはない!

この問題は知識問題と図の読み取り問題です。例に従って、同化量と摂食量を式で表しましょう。

スライド5で、一次消費者のそれぞれの〇〇量を導くことができたので、あとはアルファベットを使って式をつくるだけになります。このとき、〇〇量で式をつくると、

  • 摂食量=成長量+被食量+死滅量+呼吸量+不消化排出量
  • 同化量=成長量+被食量+死滅量+呼吸量

となるので、これをアルファベットで表すと、解答の

  • 一次消費者の摂食量=G1+C1+D1+R1+F1
  • 一次消費者の同化量=G1+C1+D1+R1

となります。ちなみに数字で1を用いているのは、一次消費者のアルファベットに1がついているためです。

〇〇量を式で表すことも、このテーマの典型パターンなので、できるようになっておこう。

問4.二次消費者を最高次と考えてみるとよい!

この問題は考察問題と記述問題です。記述しなければならないので苦手意識が働くと思いますが、解答を見ると図にあった文章がそのまま使われていたことに驚いた人もいるかと思います。今回の記述は、問題文の文章をそのまま使えばよいタイプだったのです。

では、問題文にあるように、最高次を考えてみましょう。とは言っても、図にない三次消費者以上の栄養段階を考える必要はなく、二次消費者を最高次と仮定してもよいのです。そのときに何が変わるのかを考察できることが、答えを導く論理的思考となります。次のスライド6は、二次消費者を最高次とおいた場合の変化を示しています。

スライド6:二次消費者を最高次として考えてみると・・・スライド6:二次消費者を最高次として考えてみると・・・

このように、最高次の消費者は捕食されないために被食量がありません。よって、二次消費者のG2+D2+R2+F2=一次消費者のC1となります。この段取りで、G+D+R+Fを考えると、図にある“光合成に用いられた光エネルギー”と同じになるのです。

よって、解答は、“生産者”の“光合成に用いられた光エネルギー”としています。主語を付けることで、より採点者にわかりやすい正答となります。

“二次消費者”を最高次と仮定してみることが、正答を考えるための近道だった。また、記述問題のときは、問題文や図にある言葉をそのまま使ってよい場合もあるので、臆せずチャレンジしてみよう。

問5.1つ1つ正確に計算していこう!

この問題は表の読み取り問題と計算問題になります。問5の表のそれぞれの項目は記号になっているので、問1および問2で項目を答えることができていることが前提条件になります。

計算で使う式(公式)は、次のスライドようになります。

スライド7:問5で使う計算式(公式)のまとめスライド7:問5で使う計算式(公式)のまとめ

こんなにたくさんの言葉で式を表さないといけないのかと思うと思いますが、式は問題の図を見れば立てることができます。ただし、そのときに問1、問2、問3で〇〇量を答えることができていることが前提です。

空白がたくさんあるのでどれから答えればよいか戸惑うと思いますが、今回の場合は生産者 → 一次消費者 → 二次消費者の順番で解いていくのが早いです。

あとは式に当てはめて答えてみましょう。もう一度問5の表をここに載せておくので、その下の式と見比べてみましょう。

スライド8:問5の表と計算式を見比べてみよう。スライド8:問5の表と計算式を見比べてみよう。
  • (a)=20+90+10=115
  • (b)=135-(20+90+10)=15
  • (c)=90-16=74
  • (d)=74-13=61
  • (e)=61-(4+17)=40
  • (f)=(e)ー5=35(※ミスをしていたので修正しました
  • (g)=40-17=23
  • (h)=23ー(8+10)=5

このような形式で解くことができます。わからなかった人は、今一度自分の手を動かして解きなおしてみましょう。

式は覚えておいてもよいが、図から導くことも可能である。この問題も、問1から問3までの過程で〇〇量を正しく答えることができたかどうかが、正誤を分ける。

問6.初めてエネルギー効率を見た人は理解しておこう!

この問題は知識問題と計算問題です。問題を解くためには計算をすればよいのですが、公式を知っている必要があります。または、“エネルギー”を総生産量とみなすという考察ができればよいのですが、実際そのように考えることができる人はごく僅かでしょう。なので、今回を機にエネルギー効率の公式を覚えましょう

エネルギー効率の公式は、次のスライド9のようになります。生産者と消費者で少し公式が異なります。

スライド9:エネルギー効率の公式スライド9:エネルギー効率の公式

今回は二次消費者のエネルギー効率を答えるので、下の消費者の公式に、“二次消費者の同化量”と“一次消費者の同化量”を代入すればよいだけです。ただし、この同化量は問5で(c)、(f)と空白となっているので、問5を正答しなければ正しい数値を導くことはできません。

式は次のスライド9のようになります。

スライド10:問6の計算式スライド10:問6の計算式

問題文にある通り、小数点第二位まで計算して四捨五入した数値を答えることになります。

エネルギー効率の公式を知っておくことも大事だが、問5の表の数値を正しく答えることができたかどうかでも正誤を分かつことになる。

総括

解説のなかで何度か述べましたが、図中の記号の〇〇量を正しく答えることができたかどうかが一番の鍵です。それができていなければ、問5と問6を答えることはできません。なので、やはり〇〇量はすべて覚えておくことが重要になります。教科書やWebにある図をよく確認しておきましょう。

なお、問1、問2、問3、問5は基本なので、正答できるようになりましょう。難関大を目指す人は、まず問6でエネルギー効率の公式を覚えておきましょう。記述問題を完璧に解くことは難しいので、今回の問題では問4が一番の捨て問だと思います。

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POSTED COMMENT

  1. アバター とうふ より:

    問題を解かせていただきました。問5の(f)ですが、摂食量から不消化排出量を引くため、40-5となり、35になるのではないでしょうか?
    確認したいと思い、メールを打たせていただきました。

    • シカマル シカマル より:

      コメントありがとうございます。
      ご指摘の通りで、管理人のミスでした。
      急ぎ修正したいと思います。
      ご協力のほど、ありがとうございました。

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