高校生物

「高校生物教科書解説」生物を構成する物質

この記事では、高校生物版での“生物を構成する物質”について、解説します。

生物に含まれる元素

物質を構成する基本的な成分を元素と呼びます。元素は中学校理科で初めて学ぶものですが、高校化学基礎でも改めて習得し直す内容です。ここでは、元素の説明は省略します。

ヒトのからだに含まれている元素の割合は、下の図のようになっています。

酸素の割合が最も高くて63%で、次いで炭素が20%、水素が10%、窒素が3%となっています。その他の元素は微量、または極めて微量含まれており、金属元素も含まれています。

高校生物では、生物を構成する物質について、以下のようなものが紹介されています。

  1. タンパク質
  2. 脂質
  3. 炭水化物(糖質)
  4. 核酸
  5. 無機質

それぞれの物質を構成する元素は、下の図のようになっています。

※C:炭素、H:水素、O:酸素、N:窒素、S:硫黄、P:リン

大学入試では、構成元素を答えさせる問題がよく見られます。最低でもタンパク質と核酸の構成元素は覚えていた方がよいでしょう。タンパク質と核酸の違い、つまりタンパク質に硫黄が含まれ核酸にリンが含まれるという違いは、生物基礎に出てくるハーシーとチェイスの実験の詳細を学ぶときに必要な知識です。

このようなかたちで生物を構成する物質が紹介されますが、参考書には下の図のような問題が見受けられます。

解き方の説明をすると、次の通りです。

  1. 炭水化物の割合が高いC細胞は、植物細胞となる。理由は、細胞ごとに細胞壁があり、細胞壁の主成分がセルロースなどの炭水化物であるから。
  2. 残った2つのうち、核酸の割合の高いA細胞が原核細胞となる。理由は、細胞の大きさに占める核酸の割合が高いから。
  3. 最後に残ったB細胞は、消去法で動物細胞となる。

植物細胞を答えることは簡単ですが、原核細胞を選ぶときの「細胞の大きさに占める核酸の割合」というのが少し難しいと思います。ですが、納得すれば簡単です。原核細胞の大きさは2μm程度ですが、動物細胞の大きさは平均で40μm程度あります。もし仮に核酸の量を同程度とした場合、下の図のように視覚化することで細胞の大きさに占める核酸の割合の違いが簡単にわかります。(もちろん、核酸の量は生物の種ごとに異なります。)

ちなみに先ほどの問題で、生物の細胞における水の割合が大きいことはわかったと思います。水は生物にとって非常に利便性が高いとされています。その理由は、2つあるのですが、頻出なので覚えておくとよいでしょう。

  1. 様々な物質を溶かす溶媒として優れていること。
  2. 比熱が大きく、温度が変化しにくいこと。

細胞における水の割合が7割であることを、地球表面の海の割合が7割であることと同じように覚えなさいとよく聞きますが、実際のところ関係はあるのでしょうか。もしあるなら知りたいと思いませんか?

タンパク質

タンパク質の構成単位はアミノ酸です。アミノ酸の種類は20種類あります。20種類あるアミノ酸がいくつ、そしてどのような配列で並び、どのような構造をとるかによって、タンパク質の機能は決まります。

ちなみに、ヒトのタンパク質は10万種類ほどあるとされています。コラーゲンなどのように体を支えるようなものがあれば、ヘモグロビンのように酸素の運搬に関与するものもあります。アミラーゼやペプシンなどの酵素もタンパク質です。なお、タンパク質は遺伝情報の発現によってつくられます。ここでのタンパク質の紹介はこれくらいにしておいて、酵素の説明の際に改めて詳しく解説します。(準備が整い次第リンクを貼ります。)

脂質

高校生物で登場する脂質は、下の4つになります。

  1. 脂肪:エネルギーの貯蔵物質
  2. リン脂質:生体膜(細胞膜や核膜など)の成分
  3. ステロイド:細胞膜やある種のホルモンの構成成分
  4. 糖脂質:細胞膜の成分

このうち、脂肪とリン脂質の構造は覚えておいたほうがよいでしょう。脂肪の構造は、下の図のようなかたちになっています。

脂肪は、グリセリングリセロール)に脂肪酸が3つ結合した物質です。脂肪酸が3つ結合したグリセリンという意味で、脂肪のことをトリグリセリドと呼ぶこともあります。ちなみに脂肪酸が1つ結合したグリセリンのことをモノグリセリドと呼びます。脂肪がヒトの体内に吸収されるときは、分解されてできたモノグリセリドと2つの脂肪酸の形で吸収されます。なお、吸収されたモノグリセリドと2つの脂肪酸は、体内で再びトリグリセリドになります。

次に、リン脂質についてです。リン脂質は、下の図のような構造をしています。

リン脂質は、グリセリンに2つの脂肪酸と1つのリン酸化合物が結合した物質です。リン脂質の特徴としては、その構造が水になじみやすい親水部と水になじみにくい疎水部に分かれていることです。その性質のためか、細胞膜や核膜などの生体膜の主要物質となっています。

続いて、ステロイドについてです。ステロイドとはある種の化学構造をとる物質の総称です。高校生物でこの名前がついて登場する物質は、ステロイドホルモンです。生物基礎の第3章「生物の体内環境」で登場した糖質コルチコイド・鉱質コルチコイド・エストロゲンは、ステロイドホルモンに分類されます。ステロイドホルモンの特徴は生体膜を通過できることであり、その受容体は細胞内や核内にあります。なお、ステロイドホルモンと対をなすホルモンはペプチドホルモンと呼ばれ、主にタンパク質でできており、その受容体は細胞膜上に存在します。

最後に糖脂質についてです。高校生物で登場する糖脂質は、赤血球上に存在する凝集原です。凝集原の内容は、ABO式血液型の発展内容となっています。凝集原については、ABO式血液型を詳しく紹介するときに説明します。

炭水化物(糖質)

炭水化物は、糖質とも呼びます。高校生物で登場する炭水化物は、下の図のようにまとめることができます。

炭水化物は単糖を構成要素としており、単糖が2つ結合したものを二糖類、たくさん結合したものを多糖類と呼びます。物質名のほとんどを赤色にしていますが、これらの単語はカッコの中の別称も含めて高校生物でよく使われます。それぞれの物質がどの分類に属するのかについては、覚えておくとよいでしょう。なお、二糖類のそれぞれの物質がどの単糖で構成されているかについても知っておくべきです。二糖類の構成は、以下の図のようになっています。

炭水化物の化学構造は、高校生物では出てきません。高校では化学の有機化合物で学ぶことになっています。ちなみに、生物学を専攻する人は、大学で必ず習得することになります。

炭水化物の機能は、主にエネルギーの貯蔵です。ただし、デオキシリボースとリボースは核酸の構成物質であり、またセルロースは細胞壁の主成分となっています。

核酸

核酸には、DNARNAがあり、どちらも構成要素はヌクレオチドです。DNAは、2本のヌクレオチド鎖が二重らせん構造をなした物質であり、遺伝情報を担っています。RNAは、1本のヌクレオチド鎖からなり、遺伝情報の発現の際に利用されます。詳しくは、生物第3章「遺伝情報の発現」で解説することにしますが、生物基礎で習得する内容について以下の図にまとめておきます。

無機物

無機物は、有機物と対をなす物質であり、基本的に炭素を含まない物質あるいは化合物のことを指します。(ただし、炭素を含む物質でも、一酸化炭素や二酸化炭素などいくつかの分類の炭素化合物は、無機物に含まれます。)Na、K、Ca2、Clなど、登場する無機物の名前とその役割は、その都度理解していけばよいでしょう。ここでは、特段まとめることはしません

今回はこれで終わりです。

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