第5章「生態系とその保全」

「高校生物基礎」キーストーン種の実験考察問題の解き方を解説

この記事では、高校生物の第5章「生態系とその保全」に登場する“キーストーン種の実験考察問題”の解き方について解説を行っています。日常学習のお役に立てたら幸いです。

問題

では、まず問題を解いてみましょう。下のスライド1が問題用紙になります。標準解答時間は10分です。10分経っても解けなかった場合は、解答と解説を見ましょう。

スライド1:キーストーン種の実験考察問題スライド1:キーストーン種の実験考察問題

解き具合はどうだったでしょうか。今回のポイントになっているのは、問3の問題です。長文を理解して適切に考察できたかどうかが、点数につながります。以下の解答・解説を確認し、理解を深めましょう。

解答

問1.ヒトデ:③、紅藻:①、ヒザラガイ:②

問2.②

問3.③と④

問4.キーストーン種

解説

問1.図から栄養段階を読み取る問題

この問題は図の読み取り問題です。ヒトデ、紅藻、ヒザラガイの栄養段階を、図から読み取る問題でした。

図の栄養段階を読み取ると、次のスライド2のようになります。

スライド1:問1の生産者と消費者の区別スライド1:問1の生産者と消費者の区別

プランクトンについて学んでいる方は、“植物プランクトンは独立栄養なので生産者であり、動物プランクトンは従属栄養なので消費者であること”を知っていると思います。そのような方は悩むかもしれませんが、今回の場合は『プランクトン』は総じて生産者として取り扱うことが妥当です。理由としては、図の『プランクトン』が矢印の起点であることが挙げられます。

生産者と消費者を見抜くポイントですが、矢印の起点になっている生物が生産者だと捉えることが大事になってきます。そして、生産者の生物を捕食する生物は一次消費者、一次消費者を捕食する生物は二次消費者となります。図中のヒトデに関しては、一次消費者および二次消費者を捕食しているので、二・三次消費者と答えるのが妥当です。

なお、分解者も選択肢にあるので、改めて分解者の意味を紹介しておきます。

…。自然界(または生態系)において、生産者・消費者の遺体や排泄物中の有機物を分解して無機物に変える生物。ふつう菌類細菌類をいうが、土壌動物も含まれる。…。

引用:新生物学辞典第一刷、三省堂、p.501より

つまり、分解者は消費者と同じように矢印の先にある生物が該当します。図を見ると、引用にあった菌類・細菌類・土壌動物がいないので、今回は分解者に該当する生物はいないということになります。

生産者を見抜くことによって、消費者を読み取ることができる。

問2.図から食物の種間競争を読み取る問題

この問題は図の読み取り問題です。4つの選択肢にある生物の組み合わせについて、食物をめぐる種間競争が起こりえない組み合わせを答える問題でした。

『食物をめぐる種間競争』が起こる場合とは、捕食対象を同じにしている消費者の組み合わせのことを指します。つまり、食物をめぐる種間競争が起こらないとき、組み合わせとなっている捕食者どうしの捕食対象は異なることになります。

では、①から④までの生物の組み合わせを見てみましょう。

①カサガイとヒザラガイ

図を見ると、両者とも紅藻を捕食対象にしていることが矢印から分かります。よって、両者の間で食物をめぐる種間競争が起こると考えられます。

②イボニシとイソギンチャク

図では、イボニシはイガイとフジツボを捕食対象とし、イソギンチャクは小魚を捕食対象としています。よって、両者の間では食物をめぐる種間競争が起こりえないと考えられるので、②が正解となります。

③ヒトデとイボニシ

ヒトデはイガイ・イボニシ・フジツボを捕食対象とし、イボニシはイガイ・フジツボを捕食対象としています。両者でイガイとフジツボが同じ捕食対象となっているため、食物をめぐる種間競争が起こると考えることができます。

④イガイと小魚

イガイも小魚もともにプランクトンを捕食対象としています。捕食対象が同じであることから、食物をめぐる種間競争が起こると考えることができます。

食物をめぐる種間競争は、同じ生物を捕食対象としている場合に起こる。

問3.キーストーン種除去の結果から考察する典型問題

この問題は実験考察問題です。ヒトデを除去することで変化した生態系を読み解き、選択肢にある文章が適切であるかどうかを答える典型問題でした。

リード文にある時系列をたどると、次のスライド2のようになります。

スライド2:ヒトデ除去による生態系の変化の時系列スライド2:ヒトデ除去による生態系の変化の時系列

では、選択肢にある文章の適・不適を見ていきましょう。

①イガイとフジツボが増えた理由は、おもに両種に集中していたヒトデの捕食がなくなったためである。

適です。図中の矢印を見ると、ヒトデはイガイとフジツボを多く捕食していることがわかります。しかし、捕食者のヒトデがいなくなったことで、イガイとフジツボは大量に生存できるようになったと考えることができます。

②種間競争は、異なった栄養段階に属する生物の間でも起こりうる。

適です。今回の場合、1つ目と2つ目の点での説明で読み取ることができます。一次消費者であるイガイとフジツボは、生産者の紅藻と二次消費者のイソギンチャクから生活空間を奪うという種間競争をしています。

③ヒザラガイとカサガイが消滅した理由は、食物をめぐる両種の間の競争である。

不適です。ヒザラガイとカサガイの捕食大量である紅藻がほとんど姿を消したことが理由になります。問2では捕食対象が同じ場合は食物をめぐる種間競争が起こると説明しましたが、問3の問題文を読むことで紅藻が消えたことが理由とわかります。

④上位捕食者の存在は、群集構成の単純化をもたらしている。

不適です。逆に、ヒトデという上位捕食者が存在することで生態系内の生物種数は増え、群集構成は多様になっていると考えることができます。

⑤上位捕食者の除去は、被食者でない生物の個体群にも間接的に大きな影響を及ぼしうる。

適です。問4で説明しますが、キーストーン種を除去した場合の現象と一致します。

以上が問3の説明になります。

今回のテーマのポイントなので、理解を深めておこう。マーク式ならば選択形式でよいが、私立・国立二次試験の場合は論述対象になるため、理系は書けるようになることも望ましい。

問4.おまけで“キーストーン種”の語句確認

この問題は知識問題です。問3のリード文にあるヒトデが“キーストーン種”であることを答えるだけのおまけ問題でした。

念のため、“キーストーン種”の用語を確認しておきたいと思います。

生物群集の食物連鎖(食物網)において、食物連鎖の上位に位置する特定の捕食者が、食物連鎖全体に大きな影響を及ぼしている場合があり、このような場合、その特定の種をキーストーン種と呼ぶ。たとえばペインの実験では、キーストーン種であったヒトデを潮間帯から除去した結果、下位の動物間での競争が激しくなって競争排除が起こり、ヒトデが直接食べる動物種だけでなく、藻類へも影響が及び、生息する種が半減した。

引用:生物用語集〈改訂版〉第5版、駿台文庫より

哺乳類のラッコもキーストーン種の例として出題されることがあります。気になる方は、Google検索してみるとよいでしょう。

総括

キーストーン種の問題は、入試で見受けられる典型考察問題のはずですが、意外にもがっつりと問題を扱っている問題集はごくわずかでした。なので、今回紹介した問題の中でも特に問3を解いておくことで、キーストーン種の考察問題への理解を深めることができ、同級生からリードすることができると思います。

来年度から実施される大学入学共通テストでは、思考力や判断力が求められるとされています。実験問題を演習することで考察に慣れ、本番に備えるとよいでしょう。

おわりに

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以上でこの記事は終わりです。ご視聴ありがとうございました。

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