第1章「生物の特徴」

「高校生物基礎・生物」細胞分画法の典型問題の解き方を紹介

細胞分画法は、“高校生物基礎”では第1章「生物の特徴」の発展問題として、また“高校生物”では第1章“細胞と分子”の通常問題として登場するテーマです。

ということで、今回はその細胞分画法の典型問題の解き方を紹介します。

下の演習問題を解いて、実力を試しましょう!わからないところは、その下にある解説を読むとよいでしょう!

問題

では、まず問題を解いてみましょう。下のスライドが問題用紙になります。

標準解答時間は15分です。15分経っても解けなかった場合は、解答と解説を見ましょう。

“生物基礎”の方は問6まで解きましょう、問7は“高校生物”の内容になります。

スライド1:細胞分画法の典型的な演習問題スライド1:細胞分画法の典型的な演習問題

うまく解くことができましたか?

問題集を数冊読み比べましたが、おおよそこのような問題が典型問題になります。基本的にはどれも解けるようになってほしいです。

では、解答と解説を見て、確認することにしましょう!

解答

解答は、下のスライド2のようになります。

スライド2:細胞分画法の問題の解答スライド2:細胞分画法の問題の解答

解説

問1.構造体(細胞小器官)の名称を答えよう!

この問題は知識問題です。問題文にある沈殿分画の膜構造体(細胞小器官)を答える問題でした。

細胞破砕液を遠心分離するとき、遠心力の程度によって沈殿物が変わります。

スライド3:遠心力の強さによって沈殿物が変わるスライド3:遠心力の強さによって沈殿物が変わる

沈殿する順番は必ず覚えておきましょう!

また、問題文には膜構造体①~④とあるので、それぞれ膜構造物である核、葉緑体、ミトコンドリア、小胞体と答えるようになっています。ちなみに、管理人なら小胞体を粗面小胞体と答えても今回は〇にします。高校生物を勉強した方なら、タンパク質合成に関わる膜構造体=粗面小胞体と考えるからです。

問題によっては遠心力が数値で書いてあることもありますが、その数値は覚えなくて問題ありません!沈殿する順番を覚えましょう!

問2.細胞分画法の結果を読み取る+選択肢でミスしない!

この問題は知識問題です。問題文にある分画Ⅰ~Ⅳの情報を整理して、細胞を選ぶ問題でした。

改めて細胞Xと細胞Yの情報を整理すると、次のようになるはずです。

  • 細胞X:核、細胞壁葉緑体、ミトコンドリア、小胞体などを持つ。
  • 細胞Y:核、ミトコンドリア、小胞体などを持つ。

このことを踏まえると、細胞Xは植物細胞細胞Yは動物細胞(など)と考えるのが妥当でしょう。

ここまで来ると選択肢を選ぶことになりますが、ここで引っかけが待っていました

植物細胞の選択肢2つあるし、動物細胞の選択肢も2つある…。どういうことだろう?

植物細胞に関しては、ムラサキツユクサの孔辺細胞とダイコンの根端細胞の2つがありました。ここで常識的に考えなければならないのは、根端細胞などの根の細胞には葉緑体がないことです。また、少し詳しい知識ですが、孔辺細胞には葉緑体があります。よって、細胞Xに適するものとしては、ムラサキツユクサの孔辺細胞を選ぶことになります。

動物細胞に関しても、簡単な引っかけがありました。それは、ヒトの赤血球には核がないということです。よって、ヒト赤血球は適せず、ネズミの肝細胞が適することになります。

なるべく早く解く力を身につけることは、非常に大事です! でも、このような選択肢に引っかからないように、注意しておきましょう!

問3.細胞壁の主成分⇒セルロース、ペクチン!

この問題は知識問題です。S4、つまり最後の一番強い遠心分離の上澄みに含まれるものとして適さないものを答える問題でした。

最後の遠心分離の上澄みに含まれるものは、細胞質基質とそれに溶けている酵素など…。

学校や塾の先生でもこれくらいしか教えてくれませんし、管理人もこれを覚えておけば十分だと思います。今回の問題のポイントは、ペクチンだったのです。

細胞壁の主成分は、セルロースとペクチン

これは絶対に覚えておきましょう。生物基礎の方も高校生物の方も必須です。

そして、分画Ⅰに(セルロースが含まれているので)細胞壁があることから、ペクチンは分画Ⅰに存在しなければならないものとなります。

アントシアンって、確か液胞に含まれている色素だったよね…。えっ…、どういうこと…?

こういう迷いもあると思いますが、今回の問題をスムーズに考えるためには、ペクチンに注目すればよかったのです!

問4.二重膜の細胞内構造物は覚えておこう!

この問題は知識問題です。細胞内構造物(細胞小器官)のうち、二重膜構造をもつものを答える問題でした。

これに関しては、次のようにまとめて覚えるしかないです。

二重膜構造をもつ細胞内構造物

核、葉緑体、ミトコンドリアだけ!

よって、選択肢①、②、③を選ぶのが答えでした。

核、葉緑体、ミトコンドリアの図を見たい場合は、下の内部リンクを見てください。細胞内構造物の図を差し込んでいます。

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問5.典型論述1:浸透圧をおさえよう!

この問題は典型論述問題です。生物基礎では第3章“生物の体内環境”で(発展として)学ぶ浸透圧の知識が関わる問題でした。

浸透圧に関しては、ここでは簡単にしか紹介しません。(浸透圧の解説記事を作成したら、内部リンクを差し込みたいと思います。)

高張液に浸す動物細胞は収縮する。植物細胞は収縮して原形質分離を起こす。
等張液に浸す動物細胞、植物細胞ともに見かけ上変化はなし。
低張液に浸す動物細胞、植物細胞ともに膨張する。
蒸留水に浸す動物細胞は破裂する。植物細胞は限界まで膨張する。

等張液以外の浸透圧の溶液に細胞を浸すと、収縮、膨張、破裂といった変化が起きてしまいます。そのような変化を起こさないために、実験では等張液を用いるのです。

高校生物の発展内容ですが、細胞の等張なスクロース溶液よりもさらに適した溶媒として、“緩衝液”が挙がるときがあります。緩衝液は等張であるだけでなく、pHの値も細胞と同じ値になっているため、より適していると言えます。もし大学で生物学を専攻して細胞培養し破砕するときは、緩衝液を使うと思います。

問6.典型論述2:低温条件の理由は覚えておこう!

この問題は典型論述問題です。細胞分画法の各操作を低温条件で行う理由を2つ答えなければならない問題でした。

改めて答えを書くと、以下のようになっていました。

まず、1つ目です。

1.加水分解酵素による細胞小器官の分解を防ぐため。

この解答のポイントは、加水分解酵素です。細胞内には加水分解酵素という酵素も存在します。この酵素は、基質にH2Oを付与することによって基質を分解するはたらきがあります。代表的なものはタンパク質分解酵素で、ペプチド結合にH2Oを付与してペプチド結合を分解する働きがあります。このような分解酵素が細胞小器官や細胞質基質に溶けている酵素に作用して分解することを防ぐ必要があります。なぜなら、細胞分画法の目的は、細胞内の構造物や物質を分けることにあるからです。実験の途中で構造物や物質が壊れては意味がありません。そのため、加水分解酵素の活性を抑えるために、低温にすることが必要なのです。

次に2つ目です。

2.細胞小器官がもつ酵素の、摩擦熱による失活を防ぐため。

細胞をすりつぶすときはもちろん、遠心操作のときにも摩擦熱が生じます。温度が高くなることで不利益を生じるのは、酵素(を含むタンパク質)です。最適温度の単元で学んだと思いますが、ほとんどの酵素は高温になると変性して失活してしまいます。なので、擦熱が生じても高温にならないために、低温にする必要があるのです。

内容的にはやや難しめですが、典型論述なので、理解して論述できるようになっておきましょう!本当は実験してみるとわかるのですが、高校ではなかなか難しいようですね…。

問7.解糖系の反応が起こるのは“細胞質基質”!

この問題は知識問題でした。

呼吸の最初の段階である“解糖系”が起こる場所は、細胞内では細胞質基質でした。よって、細胞質基質が含まれるS4が答えとなります。奇しくも、問3で細胞質基質がS4に含まれることは肯定していましたね。

簡単な問題ではありましたが、単元を横断する問題でした。このようなときこそ基本を忘れず、正確に答えることができるようになりましょう!

総括

細胞分画法は、“高校生物基礎”でも“高校生物”でも登場する頻出のテーマです。典型論述など覚えないといけないことはありますが、問題には上述のようなパターンがあるので、理解して覚えておけば良い得点源になります。なので、必ず解けるようになっておきましょう。

典型問題なので、是非解けるようになっておきましょうね!

おわりに

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以上でこの記事は終わりです。ご視聴ありがとうございました。

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